アメリカの脚本家組合のAI反対とGoogleのAI活用

by Shogo

アメリカの脚本家組合のストライキはまだ続いている。大きな争点は待遇改善だが、脚本開発におけるAIの使用規制も求めている。ストリーミングが中心になってきた環境下で、テレビ局、映画会社やストリーミング企業など激しい競争に晒されている。待遇改善で、彼らが、どれほど要求に応えられるかはわからない。ストライキは当分続きそうだ。

しかし、それよりもAIの規制の要求については明確な回答はできないのではないだろうか。本当に近い将来、AIが脚本を書く事はようになることを確実だ。決まりきったパターンがあるような連続のテレビのシリーズなどは、いくらでも書けるであろう。それはテレビ局も脚本家もよくわかっている。だからこそ、脚本家組合はAIの制限を求めている。AIが脚本を書くようになると、人間の脚本家は、AIが作り出した脚本の最終的な仕上げを、今の何十分の一の賃金で請け負うことになるのかもしれない。だから、この時点で、テレビ局などは、AI使用規制という組合の要求簡単には受け入れることができないであろう。

昨年11月にOpen AIがChat GPTを公開して以来、AIは、すべての領域や業界に渡って大きな課題となっている。つまり、AIが私たちをしていることや企業のあり方などを全て変えるかもしれない現実に直面したのだ。

しかしながら、実際はすでに多くの場合に、多くの企業がAIを活用し、私たちもAIのもとで生活している。 Netflixで作品を選ぶ際には、AIのアルゴリズムによる、お勧めの%を見て、映画やテレビドラマ決めることが多いし、ソーシャルメディアではAIがアルゴリズムを選んだ「おすすめ」や「For You」がタイムラインに表示されて、それを見ている。

ChatGPTが行ったのは、様々な衣装を着たAIが我々の生活に登場している中に、むき出しのAIと言うロボットの姿を見せたことだ。裸のロボットを見てわれわれはその可能性について想像力を極端に膨らませている。

ChatGPTのような大規模言語生成モデルの開発において最も進んでいたGoogleがAIを現実のアプリケーションとして公開してこなかったのは、誤情報やヘイトスピーチを生成するリスクを恐れていたからだ。しかしベンチャーであるOpenAIはその壁を乗り越えてChatGPTを公開している。

ChatGPT公開後に、すぐ思ったのはChatGPTを公開のようなチャットボット型の言語生成モデルは、検索エンジンを古臭いものにしてしまうかのかもしれないということだった。これは、Googleもわかっていることで、急遽AIを搭載したチャットボットBardを発表したり、新たに様々なサービスにAIを組み込むことを決めた。

Googleにとっては、祖業でもあり、稼ぎ頭の検索エンジンビジネスの1,625億ドルが危険に晒された。また、ChatGPTだけでなく、今までは、敵のレベルに達していなかった、Microsoft EdgeやBingがChatGPTを搭載して、急に強敵になった。検索エンジンビジネスの独占が崩れそうだ。

その結果、今週になって、Googleは、検索エンジンの結果のページの上に、AIが生成した回答を表示して、ユーザがさらにチャットで質問が出来るようにすると発表した。これはすでにMicrosoft EdgeやBingで行っていることの後追いとなる。しかしGoogleが同様の機能を加えることで、圧倒的に強いブラウザのChromeと検索エンジンによりMicrosoftへのユーザーの流出をある程度止められると考えているのではないだろうか。

この機能は、通常に公開されるのではなく、ユーザーは、Search LabというGoogleの実験に参加登録をして、実験として利用することになる。つまり、現行のGoogleの検索エンジンが、メインで、AIによるチャットは補助的なものと言う位置づけを明確にしている。

つまりGoogle検索は、Googleのビジネスの基盤であると同時に、ある意味社会のインフラになっているものだから、現時点ではまだ不完全な言語生成AIの手に委ねられないということなのであろう。ここでも、Googleの自社や社会へのリスクの意識が働いている。

Googleが今週発表したもので、面白いものは画像生成AIモデルのAdobe fireflyが、GoogleのAIチャットボット、Bardに組み込まれて、ユーザーが簡単に画像を作り出すことができるサービスだ。すでに、Dalle2、Midjourney, Stable Diffusionなどで画像ソフト画像生成AIは一般的なものになりつつあるが、GoogleがAdobeと組んで、このサービスを行うことで、一般に利用が広がる可能性がある。

Adobe fireflyについてはすでにAdobeから案内が来ていて、登録をしたが、まだ使っていないので多少触ってみようと考えている。Googleと同じように、大企業のAdobeは画像映像についての著作権の問題に配慮した画像生成を行うようだ。つまり、企業等がAdobe fireflyを使った画像を作って、広告などで使用しても、著作権の問題をクリアしている。

期待や恐れが膨らんで、現時点のAIの実態を忘れがちだが、まだ過渡期にあると言うことを念頭に置いて、この技術を、いつ実用化するのか考える必要がある。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください