Adobeが画像生成AIのFireflyのサブスクリプションの販売を開始するようだ。
AdobeのFireflyの画像生成は、商業使用を可能にするために、Adobeが保有するか著作権の問題をクリアした画像のみを事前学習に使用している。仮にAdobeのFireflyを利用して著作権侵害で訴えられた場合には、Adobeが損害賠償を支払い裁判についても支援するとことを明らかにした。
他の画像生成AIツールが著作権問題で、黒に近いと思われるグレーな状態にあることを考えると大きな違いだ。価格については、金額が明らかにされていないが、顧客の組織の規模に応じて交渉すると発表されているので、このサブスクリプションについては企業向けのようだ。
個人対象のFireflyは、web上のサービスとしてベータ版で公開されており、誰でも登録して利用できる。また、Adobe Creative Cloud サービス利用者については、Fireflyを統合したPhotoshopのベータ版がダウンロードできる。Web版は体験用ということで、個人向けビジネスにはPhotoshopで、Fireflyを利用できるサブスクリプションを販売するのだろう。Photoshopのベータ版を試してみたが、Photoshopの機能として、Fireflyを使って不要な画像の1部を消したり、新しい画像で塗り潰すことができる。考えてみれば、単体で画像生成AIツールは使うことはないので、当然の使い方だ。今も、Midjourneyで作った画像をPhotoshopで読み込んで調整している。
写真は加工されていないものという古い考えが頭に染み付いているので、Fireflyで不要な人物など消せるのは面白いが、それが写真家かと問われれば、個人的にはnoだ。自分の写真の調整には使いたくない。だが、様々な目的の写真や画像の加工には圧倒的に楽になる。
Fireflyのベータ版の提供が始まって、最初の8日間で1億枚の画像が生成されたそうだ。やはり他の画像再生ツールの開発元のベンチャー企業よりも、圧倒的に多い顧客顧客を持ち、多分巨大なコンピューターリソースを持っているために、著作権問題の保証をつければ、多くの顧客を集めることになるだろう。ただし、個人的な感想では、現時点では完成される画像はMidjourneyの方が優れている。
今後の画像生成AIツールの利用拡大には、やはり個人向けの価格設定がどうなるかが大きい要素となる。Stable Diffusionは月額149ドルで、Midjourneyは1番高いプロプランで月額60ドル。私が契約しているMidjourneyスタンダードプランで月に20ドル。このプランでも、月に900枚作成できる。これをスピードが遅いモードにすれば無制限に作成可能だ。個人的にはこれで使い切れないので20ドルのプランで十分だ。さて、Fireflyの個人向け価格はどうなるのだろう。
AIツールはすでに、今までも様々な産業や分野で使われている。主には、分析や制御の領域で利用者の目に直接触れることはなかった。それが、昨年から言語と画像の生成AIサービスが登場したことで、AIブームが訪れている。このために、多くの既存サービスも生成Aiツールをサービスに組み入れ始めた。
その例はMicrosoftのOffice365のcopilotだが、それだ気ではない。様々なところで、よく使っているサービスにポップアップでAIのサポートが現れるようになってきた。昨日もメールの返信をスマホでしようとしてしたら、変換ツールのSimejiがポップアップで送信先との過去のメールのやりとりを表示してみせた。簡単なことだったので、余計なお世話なのだが、今後そのような形でAIによるサポートが使われるのだろう。
問題はそれに対してどのように課金するかだ。MicrosoftはOffice365の顧客に対してcopilotのAI機能をテストするために、1000人のユーザに対して、10万ドルを課金しているそうだ。一人当たり100ドル。これが一回の課金なのか年払いの課金なのかは知らない。当然、AIツール提供側は、サービス事業者に課金して、サービス事業者はエンドユーザーに課金するのだろう。それを、エンドユーザーが払いたい金額で望むようなサービスになるかが鍵だ。
ブルームバーグの報道によれば、Open AIのChatGDPと画像生成ツールのDALL-Eの市場規模は2032年までに1兆3000億ドルになると見込まれているそうだ。レートによるがOpen AIだけで200兆円規模の市場と言うことだ。また、Precedence Researchの推計によれば、2022年の生成型AIの市場規模は2079億ドルで、今後成長が続き、2032年までには1兆1806億ドルに達すると言う。この数字はブルームバーグと全く同じではないので、ソースは別のようだが、どちらも巨大市場の誕生を予想している。すでに多くの人の見込みと予想は、期待も入っているかもしれないが、GAFAMを超えていると言うことになる。
FireflyはGoogleがBardの機能として採用し、Bard経由で画像生成を行う事も発表されている。Adobeは、GoogleにFirefly使用料を請求することになるのだろう。この場合のBardは有料化するのだろうか。今までのGoogleのビジネス慣行では、無料で市場に参入して競合を消滅させるというのがパターンだ。Adobeは、それを望まないのでBardでのFireflyの利用は機能限定版ということになるのだろう。
個人としては、FireflyをPhotoshopと一緒に使えるのであれば、ぜひ契約をしてみたいものだ。問題はその価格だ。