AIによる広告コピー制作

by Shogo

様々な分野に人工知能が使われるようになり、毎日のように新しいサービスも登場している。広告の分野も同じだ。今後は言語生成AIツールを使を普通に使うだろう。すでにいくつかの企業は、AIを使ったサービスの提供を開始している。電通デジタルは、「♾️AI」(むげんAI)と言う名称で、広告制作のプロセスにAIを導入して、いくつかの企業に試験的にサービスを始めた。このサービスの場合は、AIが訴求ポイントなどを分析して、それに基づいてコピーを自動生成する。ただし、最終的には人間の手が入って仕上げが行われる。

サイバーエージェントも、「極予測AI」というサービスを開発し、ターゲットに合わせた広告コピーをChatGPTを使って自動生成している。

今までの、人間が行う広告コピーの制作の際には、コピーライターが、商品や状況分析に基づいて、訴求ポイントを考え、多くの可能性を検討する。そして、最終的に方向性を決め、多くの広告コピーの候補を制作し、最終的なコピーを選ぶプロセスをとっている。この検討する部分や多くのアイディア出す工程をAIに行わせることにより時間や効率だけではなく、人間が考えられない可能性までAIが発見することにより、より良い広告コピーが作られる可能性がある。このため、今後ますます広告の開発・制作に生成AIツールが使われる事は確実だ。

このような広告業界の状況で、面白い調査がアメリカで行われた。アメリカの販促グッズの会社が、マクドナルドやFacebookなどの実在する会社の、現在実際に使われているスローガンと、この調査のために、この会社がAIを使って作ったスローガンを比べる調査を行った。

つまり、人間が作ったスローガンとAIが作ったスローガンのどちらを、人々が好むかと言うことを調べたのである。結果は、ハイテク企業のスローガンとしては、AIが作ったスローガンが調査で高い評価となり、人間が作ったスローガンはいくつかのカテゴリーでは人気が高かった。

この調査を行った。この会社はクオリティー・ロゴ・プロダクト社で、イリノイに本社を持ち、5つの支店がある、それなりの規模の販促物の制作会社のようだ。Facebookやマクドナルド以外にサブウエイ、バーガーキング、ベライゾン、リーバイスなど50社の企業のスローガンを作成して、1000人を対象として2つのスローガンを比べて、どちらが好きかを調査している。

その結果は、ハイテク企業の分野では、AIが作ったスローガンが人気を集めた。フェイスブックの場合、調査対象者の83%がAIが制作したスローガンである “Your Digital Neighborhood “を好み、実際のスローガンである “It’s Quick and Easy “を選んだのはわずか17%だった。また、AIが作成したサムスンのスローガン “Technology for Life “は、サムスン独自の “Do What You Can’t “を上回った。グーグルについては、87%がAIのスローガン「Explore Everything. Miss Nothing(何も見逃すな)”というスローガンの方が、”Don’t be evil(邪悪になるな)”(2015年にグーグルの親会社であるアルファベットの設立に伴い、”Do the right thing(正しいことをしよう)”というスローガンに変更された)というブランドの非公式なモットーよりも好まれた。

レストランの分野では、既存の人間が作ったスローガンが、AIが作成したスローガンよりも優勢だった。サブウェイの “Eat Fresh “というスローガンが、AIの “Bread Baked Dailyよりも人気があった。マクドナルドの “I’m Lovin’ It “は、AIの “Savor the Moments, Taste the Magic “よりも88%の回答者に好まれた。バーガーキングの伝統的なスローガン “Have it Your Way “は、AIによる “Taste Royalty “を上回った。

ハイテク企業とレストランでは、人間が作成したスローガンとAIが作成したスローガンがどちらかが優勢なる結果になったが、この結果は興味深い。なぜだろうか。

しかし、いくつかの企業のスローガンはほぼ互角となった。アディダスの場合、52%がAIが作成した “Stride with Pride “を好んだのに対し、実際のスローガンである “Impossible is nothing “を好んだ人は48%だった。また、レゴの伝統的な “Play Well”(49%)に対して、AIの “Your Imagination, Our Pieces”(51%)でも意見が分かれた。

この調査は、遊びとしても面白く、この会社のPRには大いに役立った。同時に、AIによる広告制作について、AIを実際の広告制作に導入するための大きなきっかけなるかもしれない。なぜなら、人間もAIも広告コピーを制作するということにおいて優劣がないことがはっきりしたからだ。

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