AI生成偽コマーシャル

by Shogo

AIツールだけで作られた偽コマーシャル・フィルムが、話題になっている。それは、AIツールだけだけでどこまでのクオリティの映像が作れるかという興味とパロディとしての面白さのためである。

1つは、CMプロダクションによって制作された架空のビールの偽コマーシャル、Synthetic Summer。

コマーシャルであることは分かるが、かなり違和感はある。やはり動画で動く人をAIのみで制作するのは、現時点では難しいのであろう。Midjourneyなどの静止画生成でも指など人間の細部は生成が難しい。それを除けばコマーシャルの目的が、ビールが楽しいパーティーで飲まれて、その雰囲気が表現されており、商品名がちゃんと明示されるのであれば、それで良いと言う考えであれば、充分にその目的を果たしているとも言える。Synthetic Summerを制作したのは、Private Islandと言うCMプロダクションだ。大手広告会社と協業しており、NikeやAdobe、Bud Liteなど大手広告主のコマーシャルの制作を行っている実績のある会社だ。ウェブサイトを見ると、CGを多用した驚きのある表現が得意なようだ。Synthetic Summerを制作したツールは説明されていないが、ChatGTPなどで内容を開発して、Stable Diffusion、Midjourney、ControlNetなどを使い、Adobe After Effects などのツールで仕上げているのだろう。

Synthetic Summerは、AIですべてを作るという遊びだから、当然のことながら、登場人物の顔など不自然な点があるが、本当の撮影なら、現時点では登場人物の実写と組み合わせてコマーシャルを制作するであろう。今回のポイントは、全てがAIで作られていると言うところであるため、現時点では何もここまでですよという限界を示したかったのかもしれない。

もう一つの話題になっているチームは、架空のレストラン、Pepperoni Hug Spotのコマーシャルで、個人のモーション・グラフィック・デザイナーによって制作された。過去にコマーシャルを制作した経験は無いそうだ。

この30秒のコマーシャルを制作するために、彼が使った時間はたった3時間だと言う。このコマーシャルは、RUNAWAYと言う、新しい映像生成ツールやChat GPT4, Eleven Labs, Midjourney and Soundraw AIで制作され、やはりAdobe After Effectsで統合しているようだ。RUNAWAYは、テキストのプロンプトから動画が簡単に制作できるシステムだと言う。現時点ではまだベータ版で一般公開されていないが、近く一般公開もされるようだ。

どちらのコマーシャルも明らかに映像が不自然でストーリー展開もありきたりのもので、コマーシャルとしては考えると不満が多いものだろう。完成していないとも言える。内容と映像のクオリティの2つの問題を持っている。

現時点ではどちらにせよ、コマーシャルも全てAIが作ったと言うことのために作られているので遊びやパロディの域を出ていない。しかしながら、画像生成AIツールがかなり現実の写真に使いものが作れるようになったことを考えると、近い将来というか、もうすぐにかなり実写と変わらないクオリティーの映像が生成される事は間違いない。動画も所詮は1秒に24フレームの静止画がつながっているだけのものだ。だから、映像のクオリティの問題は直ぐに解決されるだろう。

しかしながら2番目のコマーシャルとして成立させるためのストーリー展開やひねりについてはどのように解決されるのかよくわからない。多分ここは映像生成AIツールの出番ではなく、ChatGTPのような言語生成ツールの出番となり、そのようなツールを使ってストーリー展開を考えるのかもしれない。これには、当面は人間がコントロールするのは間違いない。

AIで作ったと言う事だけで話題になってる2つのコマーシャルだが、これを見て、広告主は、まだしばらくはすべてAIでコマーシャルを作ろうと思わないことだけは確実だ。

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