Amazonが2023年第二四半期の決算発表した。売り上げ1340億ドル、利益68億ドルでアナリストの予測を上回った。コロナ禍の売上拡大の反動を受けた2022年は期待外れだったが2023年は好調のようだ。
Amazonは1994年にオンライン書店として出発した。来年は30周年だ。当初から、オンライン書店が目標ではなかったそうだ。早くからインターネットの成長とその潜在能力を認識していたジェフ・ベゾスは、オンライン書店から出発して、「地球上で最も顧客中心の企業」になることを目標としていたと言う。
オンライン書店から出発した理由は、いくつかあったようだ。まず、書籍は多種多様なタイトルが存在するために、特定の書籍が売れ残るリスクを分散させることができたこと、本は堅牢で物流が容易であったこと、1990年代には、書籍市場まだ大きく、オンライン上で、書籍を販売する競合が少なく、成長性があったことなどが理由とされている。
そして、書籍の販売で成功したAmazonは、書籍と似た商品特性のCD/DVDに販売商品を広げ、さらに家電、衣服食品など、幅広いカテゴリーの商品を扱うようになった。そして、プライム会員制度を遅くさせて会費を徴収して、様々なサービスを行うビジネスモデルを導入した。
このビジネス領域の拡大で、最も高い大きいインパクトをAmazonのビジネスでも社会的にも与えたのが、Amazonが自社のために開発したクラウドコンピューティングサービスを、外販するようになったことだ。これが、Amazon Web Service(AWS)だ。今やインターネットでビジネスを立ち上げる際に利用するデファクトスタンダードとなっている。
携帯電話の販売など失敗したビジネスも多いが、独自技術の開発については大きな投資を行い、それが音声認識技術のAlexaなどにもつながっている。これらを、含め物販ではないビジネス領域の拡大を続けている。
2023年の第二四半期の売り上げを見ると、オンライン物販サービスが530億ドル、第三者に販売を行わせるマーケットプレイスが323億ドル、AWSが221億ドル、そして成長が著しい広告ビジネスが107億ドル、Prime VideoよAmazon Musicなどのサブスクビジネスが99億ドル、買収したWhole Foodsなどのリアル店舗ビジネスが50億ドル、その他は13億ドルとなっている。中でも重要なのはAWSで、これの利益率が常に高く、会社の経営を支えている。
Amazonは物販以外のビジネスが大きく成長しているために、2017年には自社による物販は売り上げ全体の64%を占めていたが、最新の四半期では39%まで低下している。これは、さらに低下を続けるだろう。
AWSとともに注目すべきは、広告ビジネスで、現時点では、まだ107億ドルで8%程度に過ぎないが、すでにインターネットメディア広告事業者としては、Google、Metaに次いで、第3位である。今後第3者クッキーの廃止を考えると、顧客の様々なデータを持つAmazonの広告ビジネスはさらに成長することが考えられる。