AIを使った金融詐欺の手法

by Shogo

人工知能(AI)は、多くの領域で使われてきた。そして、ChatGPT登場以来のこの1年、誰でも簡単に使える多くのサービス・ツールが登場してビジネスと日常生活に革命をもたらしている。健康診断から顧客サービス、ECサイトのおすすめ、さらには個人的な生活のニーズまで、AIはあらゆる分野で効率化と精度の向上を実現している。企業はAIを活用して業務プロセスを効率化し、個別の顧客ニーズに合わせたサービスを提供することができるようになっている。また、私たち個人レベルでも、AI搭載のモバイル機器やアプリケーションが手軽に使えて、様々な用途で便利・簡単をもたらしている。今後ますますAIが生活に浸透するだろう。

しかし、このAI技術進歩の裏で、金融詐欺師たちはAIの力を利用して、従来の手法を遥かに超える脅威を生み出していようだ。そのような金融詐欺の実態について記事を読んだ。以下では、AIがどのように金融詐欺に利用されているか、そして金融機関がどのようにこれに対抗しているかを見てみる。以下は、その主な手法だ。

フィッシングとスピアフィッシング

AIを活用したフィッシング攻撃では、詐欺師は自動化されたシステムを使用して大量のフィッシングメールを送信し、受信者に特定の行動を促す。これらのメールは、信頼性の高い情報源からのものに見せかけ、受信者を騙して個人情報や金融情報を盗み出す。これは、金融機関に限らずECサイトや配送業者を騙って送られてくるメッセージなどからも、多くの詐欺師が使う手口だ。フィッシング攻撃は大量の不特定多数への攻撃だが、スピアフィッシングでは特定の個人を狙う。スピアは槍ということだから、先が尖っている。AIがターゲットの個人のソーシャルメディアや公開情報を解析し、より個人化された攻撃を行う。これは、ソーシャルエンジニアリングと呼ばれる手法で個人を裸にして、その後の接触で銀行口座やクレジットカードの情報を取得する。

偽のアカウントとアイデンティティ盗難

AIは、大量のデータを解析し、有効な個人情報を生成して偽のアカウントを作成するのに利用される。これにより、詐欺師は金融機関のセキュリティシステムをだますことができる。また、既存のアカウントから情報を盗み、アイデンティティ盗難を行う場合もある。

AIによる音声の模倣と偽装

高度なAI技術は、特定の人物の声を模倣することが可能で、これを利用して音声認証システムを騙すことができるそうだ。詐欺師はこの技術を使って、電話システムを通じて金融取引を行ったり、他人のアイデンティティを盗んだりする。これは、オレオレ詐欺師が使うと今の被害がさらに拡大することになりそうだ。

AIを利用した取引パターンの模倣

詐欺師はAIを使用して正当なユーザーの取引パターンを模倣し、不正取引を正当な取引として検出されないようにする。これにより、詐欺のリスクが高まる。最近のクレジットカードや銀行口座について金融機関は、イレギュラーなパターンを認識してカードや口座を停止するが、これを掻い潜る方法がAIで可能になるということのようだ。

チャットボットを利用した詐欺

AIを搭載したチャットボットは、顧客になりすまし、サポート担当者との対話を通じて金融情報を取得するために利用される。これにより、詐欺師はセキュリティ質問の回答や個人情報を抽出し、詐欺行為を行うという。

金融機関の対策

金融機関は、AIを利用した新しい形態の詐欺に対抗するために、詐欺リスク管理方法を強化しているという。これには、従業員の訓練、顧客識別手順の見直し、高度なフィッシング詐欺への対応などが含まれる。AIと機械学習を活用した対策も重要である。これらの技術は、詐欺の検出、ユーザー認証の強化、不正なユーザーの早期発見に役立つ。これが強化されると、利用者側での2段階認証以上の様々な手順が増えて便利さが損なわれるが、これは仕方ないのだろう。

AIの進化は、金融詐欺の手法を大きく変えているようだ。これに対して、金融機関は、進化する詐欺手法に対抗するために、AIの進歩を活用し、セキュリティ対策を常に更新し続ける必要がある。私たちも、自身の金融情報を保護するために警戒を怠らず、疑わしい活動やコミュニケーションには注意深く対応する必要がありそうだ。とりあえず、フィッシングメールに注意することや、電話での知人の声での重要情報の問い合わせにも気を付けるべきだろう。

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