WalmartとAmazonは、世界規模の小売企業だ。両社は、出自こそ違うが、規模、商品、顧客層、そして販売方法においてはげしく競争している。
Walmartは、世界最大の小売企業で、店舗数は1万店以上、従業員数は230万人を超える。低価格戦略で知られており、食品、日用品、衣料品、家電など幅広い商品を販売している。
一方で、Amazonは、世界最大のオンライン小売企業だ。オンラインストアでは、書籍、音楽、映画、ゲーム、家電、衣料品など、あらゆる商品を販売している。またAmazonは、プライム会員向けの無料配送や、豊富な商品ラインナップ、メディアビジネス、そして優れた顧客サービスで知られている。
WalmartとAmazonは、今後も小売業における競争を続けるだろう。Walmartは、オンライン販売を強化し、Amazonに対抗している。Amazonは、リアル店舗販売を拡大し、Walmartの顧客層を取り込むこと目指している。
Amazonは消費者の小売支出の8.2％を占め、Walmartは7.2％を占めている。しかし、オンライン分野では、Amazonのシェアは53.3％に対して、Walmartは6.8％となっている。リアルに強いWalmartとオンラインで強いAmazonの競争は、まだまだ結果が見えない。
競争を続ける両社は、どちらも、デジタル技術を使って小売のオンライン販売の拡大に取り組んでいる。拡張現実（AR）と仮想現実（VR）を活用したバーチャル試着（Virtual Try-On）も、その技術の一つだ。顧客は、店舗に足を運ばずとも、自宅から様々な商品を試着・試用できるようになり、ショッピング体験はますます便利かつ効率的になってきた。
Walmartは、今週、Beauty Virtual Try-On機能を拡張し、ヘアカラーオプションを含めることを発表した。これで、Beauty Virtual Try-Onはの500製品をカバーする。Amazonも、バーチャル試着が、アディダス、ロレアルなどの製品で利用可能であると発表した。
このように、両社がバーチャル試着に力を入れるのは、顧客体験を向上させるだけでなく、環境への影響を減らすことも期待できるからだ。例えば、返品率の低減は、不要な輸送や廃棄物を減らすことにつながる。また、販売機会の増加につながりメリットがある。
さらに、消費者にとっては、自分に合った製品を正確に選ぶことができ、場所や時間を選ばずに試着できることや自分に似合う商品を見つけやすいことからメリットがある。まさにwin-winと言える。
WalmartとAmazonに限らず、多くの業界でバーチャル試着技術をが取り入れられている。L’Oréalは、自社の化粧品のバーチャル試着が大幅に増加していることを報告しているし、IKEAでは顧客がスマートフォンを使って家具を仮想的に配置し、部屋のデザインを試すことができる。JINSはARでメガネの試着ができるし、BBSはARで車にホイールを試着する機能を提供している。
これらのバーチャル試着により、消費者は、より満足の行く購買ができ、企業も顧客満足度向上、販売機会拡大、そしてビジネスの成長を実現できることから、事例は数多くある。
今後、バーチャル試着はさらに発展し、オンライン販売と小売業界に、さらに大きな影響を与えるだろう。技術の進化により、よりリアルで高品質な試着体験が提供されることになり、オンラインとオフラインのショッピングの境界がますます曖昧になることが予想される。AppleのVision Proのようなヘッドセットの使用目も登場するだろう。
