Search Generative Experienceの拡大

by Shogo

米国では、Googleで検索する際に、オプトインしていないユーザーにもSearch Generative Experience(SGE)のセクションがGoogle検索結果の上部に表示されるようになった。まだ、米国の一部のユーザーのみのようだが、今後は広がり、検索とSGEが統合してゆくのだろう。

Search Generative Experience(SGE)は、 2023年5月に公開された機能だ。この機能は、GoogleのAI機能のGeminiが生成する要約を検索結果の最上部に表示し、検索に対する簡潔な回答を表示する。さらに、これらの要約には詳細情報へのリンクが含まれており、ユーザーは必要に応じてさらに深い情報にアクセスできる。私は、すぐにオプトインしたので、簡単に検索の結果を知ることができるので便利に使っている。

これまでの検索エンジンは、単純にキーワードに基づいた結果をリストアップしていたが、SGEはAIによる、ユーザーの疑問に対する回答の要約を提供するので、まず最初の画面で、提示されたリンクをクリックする前に概要を知ることができるので便利だ。それに、多くの場合には、リンクをクリックしなくても疑問が、そのページだけで解消する。

従来の検索では、特定のキーワードに対して個別のページのリンクのみが表示される形式だ。しかし、SGEを利用すると、問いに対して、複数の情報源から得られた知識を統合して、要約として回答する。簡単に概要を知るということで便利に使える。さらに詳しく知りたいときには、検索エンジンによってリストアップされたサイトの情報を読めば良い。大抵は、SGEの回答のみで知りたいことは大体分かるので、個々のサイトに行って情報を探す手間がないので時間の節約になり便利だ。

ただし、問題もある。今の生成AIのハルシネーションだ。AIが生成する情報は、様々なソースからのデータに基づいているが、これらの情報源の正確性が常に保証されるわけではない。誤った情報や古いデータに基づく回答が生成される可能性がある。

また、生成AIは学習データに基づいて回答を生成するため、これらのデータに偏りがある場合、結果として偏った回答が提供される可能性もある。

それでも、GoogleによるSGEの導入は、検索を大きく変えてゆくだろう。ユーザーの疑問に対して、直接的な回答だけでなく、関連する情報を提示したり、質問の意味をAIが確認してくれることから、求めている情報が、より正確に提示される。

この結果、SGEと統合された検索エンジンは、単に関連する情報を持つサイトのリンクを提供するツールから、ユーザーの意図を理解し、より深い知見を提供するパートナーへと変化する。此のために、SGEは、これまでのインターネットの使用を大きく変える可能性を持っている。

今回、GoogleがSearch Generative Experience(SGE)をオプトインしていないユーザーにも解放した目的は、何だろうか。一つには、より幅広い層からのフィードバックを収集することを狙っているのだろう。これにより、SGEの改善を図ろうとしていると思われる。特に、技術に詳しくないユーザーやAI技術に関心が低いユーザーからの意見も重要であり、よりユーザーフレンドリーな検索を提供できるように考えているのだろう。

もう一つは、今後のGoogleの主要な事業である検索連動型広告ビジネスへの対応のためだろう。

SGEによって生成される要約や回答が検索結果の上位に表示されると、広告の表示位置や視認性が影響を受ける可能性がある。SGEが包括的な情報を提供するために、ユーザーの検索行動やクリックのパターンが変わる可能性がある。これは、ユーザーがSGEの生成する情報を読むために検索結果ページ上でより多くの時間を費やすことや、その結果として特定の広告へのクリック率に影響を与える可能性がある。

また、SGEがユーザーの検索意図の理解を深めることにより、広告のターゲティングやパーソナライゼーションの精度を向上させることができるかもしれない。これにより、より関連性の高い広告を表示し、広告効果が高まるかもしれない。

Googleは、SGEによって検索行動を再定義し、それに伴う広告ビジネスの対応を準備するために、オプトインしていないユーザーまでSGEの表示を開始したのだと思われる。これが、ChatGPT登場以来、Googleの検索ビジネスへの影響を評価し、対応を検討してきた結果だろう。

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