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昨日までとは全く違う世界が目の前に広がることがある。住み慣れた世界がふいに消え去り、まるで別の世界に足を踏み入れたかのような感覚に陥る。目に見えないけれど確かに存在していたはずのものが、消えてしまう。それはまるで、すべての繋がりから切り離され、どこにも属さないで漂うような気分だ。
この不安感は、どこにいてもすべてが一時的で、確実さを欠くという感じに満ちている。だが、そもそも世界は一瞬の出来事の連続で、永続するものが何もないかのだろう。風が吹けば形を変え、水が流れれば方向を変える。それは私の存在自体も、ただの一時的なものであるのと同じだ。
私たちが何かを失うとき、それは単に物理的な喪失以上のものを意味することがある。喪失感だけではなく、それがいかに重要であったかという事実の再確認を突きつけられる。それは自分の一部を失うことであり、それが、私を以前とは異なる何者かに変えてしまうようだ。このような喪失感は、耐えられないほどの不安をもたらす。かつて確実に存在したものが、もはや存在しなくなったことを身にしみて感じるからだ。
かつての居場所が消え、慣れ親しんだ世界が記憶の中の過去の時間として閉じ込められたとき、新たな現実は流動的で掴みどころのないものとして現れる。この変わりゆく流れの中で、私たちはただ漂い続けるしかないのかもしれない。安定を求めても、足元は常に砂の上に立つようで、一瞬のうちに形を変えてしまう。