生成AIブームの中で、Appleは具体的な計画を明らかにしていない。Siriで早くから、AIチャットボット機能に取り組んでいたにも関わらず、出遅れ感がある。
そのAppleがiOS 18向けに計画しているAI機能について、具体的な動向が報道されている。まず、AppleはOpenAIとの間でチャットボットや検索機能を中心にした協議を再開したと報じられた。これは、Appleが自社の技術を使用しながらも、外部の技術を取り入れる可能性を探っていることを示している。
具体的には、AppleがOpenAIの技術を利用して、iOSの機能を強化することが考えられるが、同時にGoogleとも交渉を行っているため、最終的な決定に至るまでのプロセスは明らかでない。Bloombergの報道によると、GoogleのAI駆動型チャットボット「Gemini」のライセンス取得についても話し合いが進んでいるようで、Appleがどちらの技術も、あるいは一方の技術のみを選択する可能性があるそうだ。
さらに、AppleはAI関連の自社開発にも力を入れており、新たにM3 MacBook Airを含むAI特化の製品群をリリースする計画がある。これにより、Appleは「AIに最適な消費者向けラップトップ」との評価を受けている。また、AppleはAIをデバイスローカルで実行するための新しいフレームワーク、MLXをリリースし、写真編集モデルMGIEやスマートフォンナビゲーションモデルFerret-UIなど、具体的なアプリケーション向けAIモデルも開発していると伝えられている。
外部企業との協業だけでなく、Appleは自社でも積極的にAIモデルを開発している。2024年2月には、「OpenELM」と呼ばれる4つの小型言語モデルをリリースした。これらのモデルは、デバイス上で効率的に動作するように設計されており、AppleのオンデバイスAI処理への取り組みは進めている。
Appleのデバイスに生成AIが導入されれば、様々な革新的な機能が実現する可能性がある。具体的には、まず、Siriの機能強化だろう。より自然で人間らしい会話が可能になり、より多くのタスクを支援してくれるようになると思われる。そして、GoogleのMagic Editorのような機能がiPhoneで可能になるだろう。自動的に画像の欠損部分を補修したり、動画の不要な部分をカットしたりするなど、高度な編集機能が搭載される可能性がある。それから、Appleが重視しているプライバシー保護が強化されるだろう。生成AI処理をデバイス上で行うことで、ユーザーデータのクラウドへの送信を最小限に抑え、プライバシーを保護することができる。
Appleの生成AIへの取り組みは、まだ初期段階だが、2024年秋に発売予定のiPhone 16シリーズには、様々な生成AIシステムが搭載される可能性が高く、ただ、それが外部会社の協力からなのか自社開発なのか、現時点では不明だ。
最終的に、Appleがどの技術提供者と手を組むか、またその技術がどのようにiOS 18に組み込まれるかは、今後数ヶ月で明らかになる見込みだ。AppleのAI戦略が他のテクノロジー企業とどのように異なるか、またそれが市場にどのような影響を与えるかに注目が集まっている。