Metaに巨額制裁金の可能性

by Shogo

EU当局は7月1日、MetaがEU域内で提供しているFacebookとInstagramの有料サブスクリプションサービスが、2022年11月に施行されたデジタル市場法(DMA)に違反している可能性があると指摘した。

DMAについては、すでに、違反が問題になっている。Appleは、アプリのは配信でApp Store以外を使うことを妨害しているとしてDMA違反と非難されている。また、DMAではないが、Microsoftは、Microsoft TeamsをOfficeにバンドルして、独占禁止法に違反したと指摘される状況になっている。

EUの厳しいデータプライバシー規制に対応するために、Metaは昨年10月、EU・EEA・スイスの利用者向けに、月額最大12.99ユーロで広告非表示のFacebook・Instagramを利用できるサブスクプランを導入した。しかし、EU当局は このサブスクのオプションが「支払うか、同意するか」を迫る方式で、利用者のパーソナルデータを収集し広告に利用することを目的としていると批判した。

EU当局は、このサブスクプランは、DMAに抵触すると指摘した。DMAは、大手テクノロジー企業が自社プラットフォームの利用者を「人質」に取り、不当な契約条件を押し付けることを防ぐことを目的とした法律だ。利用者のデータ収集に同意させる見返りにサービスを提供するといった行為を禁じている。

EU当局は、DMAの下ではMetaのようなプラットフォーム企業は、データ収集を拒否した利用者にも、パーソナライズは制限されるものの同等のサービスを提供する義務があると指摘している。Metaのサブスクは「プライバシー保護のために支払わせる」行為に他ならず、DMAの趣旨に反すると批判した。この批判に対してMetaは、サブスクサービスはDMAに準拠していると反論したが、EU当局と協力して調査に対応する意向を示している。これを解釈すれば、利用者のデータを利用した広告は、いっさい禁止にすべきということになる。つまり、ネット広告の利点が大きく棄損する。

このMetaのサブスクプランについては、EUは2025年3月までに調査を完了させる必要があるようだ。もし違反が認定された場合、Metaは全世界の年間売上高の10%に相当する制裁金を科される可能性がある。巨額な制裁金がかかっているからMetaのこの問題への対応は最重要課題だろう。このニュースは株価にも影響が出そうだ。また、広告事業者であるMetaにとっては生命線をめぐる戦いになる。

DMAでは、MetaのようなIT大手は「ゲートキーパー」に指定され、FacebookやInstagramなどの主要サービスは特に厳しい精査の対象となる。今回の件は、DMAに基づく初の大型案件の1つとして注目される。

EUは、AppleやMicrosoftに対しても法律違反の可能性を指摘するなど、大手IT企業への規制を強化しつつある。GDPRのようにEUの規制が世界のデジタル市場の動向を決める状況が繰り返されようとしている。

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