YouTubeの「Play something」ボタン

by Shogo

YouTubeが新たに「Play something(何かを再生)」ボタンのテストを開始し、ユーザー体験を大きく変える可能性がある。この機能は、ユーザーが何を見るか迷っているときや、新しいコンテンツを発見したいときに役立つとGoogleは考えているようだ。

YouTubeは、Android版アプリにおいて「Play something」と呼ばれる新しいフローティングボタンのテストを行っているそうだ。このボタンは、アプリの下部バーのすぐ上に浮かんで表示され、タップするとYouTubeが自動的に動画を選んで再生する。

現在のテスト段階では、このボタンは縦型のYouTube Shortsプレーヤーを使用して動画を表示する。これは、通常の横向きの動画であっても、縦型のShortsであっても同様だ。今後は横型にも拡大すると思われれる。

YouTubeは1年以上にわたり、この機能のさまざまなバージョンをテストしてきたそうだ。以前のバージョンでは、「Play Something」バナーや、白黒のYouTubeロゴを模したシンプルなボタンなどが試されてきたという。

この機能は、Netflixが2021年に導入し、昨年廃止した「Surprise Me(驚かせて)」機能(当初は「Play Something」という名称)に似ている。YouTubeがこれを取り入れ、独自の方法で実装しようとしていることがわかる。

この「Play Something」ボタンは、ユーザーの視聴体験にメリットはいくつか考えられる。

  • 新たな発見  これまで知らなかったジャンルの動画やクリエイターに出会える可能性が広がる。
  • 選択の簡素化  何を視聴するか迷っている時や、新しいコンテンツを発見したい時に便利。
  • 視聴時間の増加  「次に何を見よう?」と迷う時間を減らし、シームレスに動画視聴を続けられる。
  • レコメンド精度の向上  ユーザーの視聴履歴や好みに基づいて、よりパーソナライズされた動画が提案される。

しかし、メリットばかりでなく、影の部分もあるだろう。

YouTubeのアルゴリズムは、ユーザーの視聴履歴、興味関心、エンゲージメントなどの要素を分析し、最適なコンテンツを提供することを目的としている。「Play something」機能は、このアルゴリズムを活用して、ユーザーが次に視聴したい可能性が高い動画を自動的に選択し再生する仕組みだ。

これは、ユーザーの自主性を損なう可能性がる。ユーザーが自ら積極的にコンテンツを探す機会が減少するかもしれないからだ。その結果は、エコーチェンバー効果だ。 アルゴリズムは過去の視聴履歴に基づいて選択するため、ユーザーが既に興味を持っているジャンルや意見に偏った動画だけを提供する。これにより、多様な視点や新しい情報に触れる機会が制限されることになる。

さらに問題なのは、視聴時間の増加につながることだ。そもそも、この機能は、ユーザーの視聴時間を延ばすことを目的としている。これは、ユーザーが意図せずに長時間YouTubeを視聴してしまう可能性を高める。

「Play something」機能は、ユーザーの視聴体験を向上させる一方で、自主的な選択の機会を減少させる。とは言え、この機能の使用はあくまでオプションであり、ユーザーは依然として自らコンテンツを選択する自由を持っている。問題なのは、「自由の上に眠る」ものが出てくることだ。その場合は、廃人のように際限もなく動画を視聴し続けることになりはしないかと心配になる。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

error: Content is protected !!