Googleは、トランプ政権の「AIアクションプラン」への対応として、AI開発における著作権制限の緩和を求める政策提言を発表したと報道されている。その中で、同社は「フェアユース」と「テキスト・データマイニングの例外」がAI開発と科学的イノベーションにとって不可欠であると主張した。
AI技術の急速な発展は、AIと著作権についての議論を巻き起こしている。今回のGoogleの提言は、著作権で保護された公開データをAI学習に無制限に利用する権利を明確化することを求めている。同社は、これらの例外が「著作権者への影響を大幅に軽減しながら、AI学習のために著作権で保護された公開データを利用することを可能にする」と主張した。
この提言の背景には、Googleに限らずAI開発会社が、公開された著作権データで学習させているという事実がある。いくつかのAI開発会社は、データ所有者から通知や補償なしにデータを利用したとして訴訟を起こされており、米国の裁判所は、フェアユースの原則がAI開発者を知的財産訴訟から効果的に保護するかどうかについて、まだ判断を下していない。
フェアユース(Fair Use)とは、アメリカの著作権法で認められている制度で、著作権で保護されている作品を、著作権者の許可なく一定の条件下で自由に利用できるという考え方だ。
しかし、Googleの主張に対して、著作権者からは強い反発の声が上がっている。彼らは、AI開発者が著作権で保護されたデータを利用する際には、事前に許可を得て、適切な補償を行うべきだと主張している。
日本では、AIの学習データとして著作物を利用することについて、著作権法に明確な規定がある。具体的には、2018年の著作権法改正で新設された「著作権法第30条の4」によって、一定の条件下であれば、著作権者の許諾を得ることなく著作物をAI開発・学習目的で利用することが認められている。その意味では、AI会社会社にとっては、日本の公開された著作物は学習データの宝庫だ。
米国のAI規制は、州ごとに異なる法律が制定されているため、非常に複雑な状況にある。Googleは、このような状況を「混沌とした規制環境」と表現し、包括的なプライバシーとセキュリティの枠組みを含む連邦法の制定を求めたということだ。
AIの発展のためには、著作権者も含めて、社会全体の利益を保護するバランスの取れた規制をどのように構築するかが今後の課題だろう。