ショッキングなニュースを読んだ。米国公衆衛生局が、アルコールは少なくとも7種類のがんと関連していると報告した。その中には乳がん、大腸がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、肝臓がん、食道がんが含まれる。これらのがんのうち、乳がんや大腸がんのような一般的ながんもアルコールと密接な関連があるという。
以前から、がんとアルコールには関係があるのではということは言われており、半ば定説化している。しかし、責任ある機関が、このような発表をするとショックだ。個人的には数年前から医者から禁酒を申し渡されているのでアルコールは、このところ飲んではいないが、過去には浴びるほどのでいたから、すでに十分ながんの種子が蒔かれてているかもしれない。
米国公衆衛生局の研究によると、アルコールは毎年10万件以上のがん症例と2万件以上の関連死に関係があることが証明されたそうだ。このようなデータは、アルコールが単なる「嗜好品」ではなく、たばこのように、がんリスクを高める要因であることを示している。
しかも、怖いのは、少量のアルコールでも安全ではないかもしれないことだ。「適度な飲酒は健康に良い」との認識が広く浸透していたが、最新の科学的根拠はこれを覆しつつある。これまでの研究では、適度な飲酒が心血管疾患の予防に役立つとされてきたが、新しい研究では、そのメリットよりもリスクの方が大きいと言われ始めている。
今回の報告で、特に注目すべきは、現在のガイドラインで推奨される飲酒量(女性は1日1杯、男性は1日2杯)の範囲内であっても、乳がんや大腸がんなどのリスクが増加する可能性があるという点だ。例えば、乳がんの症例のうち、6人に1人はアルコール摂取が原因であるしていることが驚きだ。これまでは、このようにがんの原因を明確に言い切った報告はなかった。
また、今回の報告では、公衆衛生局長官は、すべてのアルコール飲料にがんリスクを明記した新しい警告ラベルを導入するべきだと提案している。しかし、こうしたラベルの導入には連邦議会の承認が必要であり、すぐには実現しないかもしれない。業界団体のロビーイストが議員に働きかけて、このような提案を潰してしまうことも予想される。
すでに、たばこ製品には「がんリスク」を警告するラベルが義務付けられている。また、ヨーロッパでは、アルコール飲料には、健康被害の可能性の警告表示のラベルがついているが、がんについては言及していなかった。それでも、飲む度に嫌な気分になったものだった。
世界保健機関(WHO)は、「アルコール摂取に安全な量はない」と明言している。このために、すでに47か国がアルコール飲料に警告ラベルを義務付けているが、その多くはがんリスクについて言及していないそうだ。一部の国、例えば韓国では肝臓がんに関する警告ラベルが導入されているという。また、アイルランドでは2026年に「アルコールと致命的ながんの直接的な関連性」を明記したラベルが導入される予定だそうだ。
これほど明確に、アルコール摂取とがんの関係についての研究結果が報告されると、たとえ医者から解禁されても、また以前のように飲むことは二の足を踏んでしまう。とは言え、時々たまらなく美味しい赤ワインを飲みたくなるのも事実だから、飲んでも一杯でやめておこうと思っている。だが、問題は一杯は一杯で終わらないということだ。