良い機能があればすぐに取り入れる(すぐに真似する)MetaがInstagramにTikTokの機能を、また採り入れた。
この機能により、ユーザーはリール動画を2倍速で再生できるようになる。この機能は、画面の右側または左側を長押しすることで利用可能。この新機能は、またしてもTikTokの人気機能を模倣したものだ。
Instagramのリール動画は、当初は最大15秒の動画しか投稿できなかったが、現在では最大180秒(3分)の動画を投稿できるようになっている。新たに追加された再生速度の変更機能により、ユーザーはより効率的に多くの動画を視聴できるようになる。
この機能は、長い動画でも最後まで見させる効果があるだろう。特に、タイパ時代で、短時間で多くの情報を得たいユーザーのニーズに対応するため、クリエイターにとってもメリットはある。
Instagramリールは、多様なクリエイティブツールを提供しており、音源やARカメラエフェクト、速度調整、タイマーなどを活用してコンテンツを作成できるようになっている。さらに、公開アカウントの場合、フォロワー以外にも表示される可能性があり、ハッシュタグを活用することで新規ユーザーの獲得にも有効だ。
InstagramとTikTokはそれぞれ異なる特徴を持っている。InstagramはDMやストーリーからの流入が多く、洗練された高品質なビジュアルコンテンツが特徴。一方、TikTokはおすすめやタイムラインからの流入が多く、リアルさや面白さを重視したコンテンツが人気。企業や個人がSNSを活用する際は、各プラットフォームの特性を理解し、目的に応じて適切に使い分けることが必要だ。
他社の機能を常に取り込んでいるMetaは、TikTokから、これまでも学んできた。今回の再生速度変更機能だけではなく、例えば、リールの「Remix」機能は、TikTokの「Duet」機能と非常によく似ている。このように、Instagramは、競合プラットフォームで成功している機能を積極的に取り入れることで、自社のサービスを強化してきた。
これは、TikTokの禁止が遠のいていることから、MetaのTikTok対策強化の一環だろう。TikTokの禁止をめぐる状況は、2025年3月現在、複雑な展開となっているからだ。
2024年4月、バイデン前大統領が中国の監視活動への懸念を理由に、TikTok禁止法に署名した。この法律は、中国企業ByteDanceに対し、2025年1月19日までにTikTokをアメリカ企業に売却するか、アメリカでのサービスを停止するかの選択を迫るものだった。
期限直前の2025年1月18日、TikTokはアメリカでのサービスを一時停止した。しかし、トランプ新大統領が就任後すぐに執行命令を発し、ByteDanceの売却期限を75日間延長した。これにより、TikTokは約12時間後にサービスを再開し、新たな期限は4月19日となっている。
一方で、アメリカ国民のTikTok禁止に対する支持は低下しているようだ。ピュー・リサーチ・センターの調査によると、禁止を支持する成人は2023年の50%から34%に減少し、反対する人々は22%から32%に増加した。この傾向は党派を超えて見られ、共和党支持者の間でも禁止支持は60%から30%に低下しているという。
現在、Oracle、Microsoft、Perplexity AIなどのアメリカ企業がTikTokの買収に関心を示していると報道されているが、ByteDanceは売却の意向を示していない。
TikTokの将来は依然として不透明だが、禁止法への支持が低下していることや、トランプ大統領が延長を認めたことなどから、完全な禁止に至る可能性は低下していると考えられている。このために、Metaは、引き続きTikTok対策を強化してゆくとみられる。