SNS利用時間削減方法

by Shogo

デジタル・デトックスは続いている。今までは、気がつくとスマホでSNSのアカウントを開いていたが、その時間を別のことに使う努力をしている。時々は、友人への連絡のために使う必要があるが、これも、なるべく最小限の使用にしている。

様々なデータからも、SNSは私たちの生活に深く浸透し、情報収集、コミケーション、エンターテイメントなど、多岐にわたる役割を果たしているのは事実だ。しかしその一方で、過剰な利用が心身に及ぼす影響も無視できないという研究結果もある。そして、何より貴重な時間を奪ってゆく。

SNSの利用状況

総務省の調査によれば、SNSの利用状況は、年代やライフスタイルによって顕著な差異が見られる。全年代を通じて、休日には「動画投稿・共有サービスを見る」時間と「SNSを見る・書く」時間が平日に比べて長くなる傾向にある。特に若年層においてはその傾向が強く、国立教育政策研究所の調査では、高校生のSNS利用時間が平日に比べて休日に大幅に増加することが示されている。大学生においても同様の傾向が見られ、平日平均利用時間が4時間を超えるという報告もある。MMD研究所が2012年に行った調査ではあるが、35歳以下の層が平均4.2時間SNSを利用しているという結果も示されており、若年層におけるSNSへの高いエンゲージメントが窺える。今では、この時間がはるかに伸びているかもしれない。

主要なSNSプラットフォーム別に利用時間を見ると、連絡手段として広く普及しているLINEの利用時間が比較的長い。YouTubeは、動画視聴プラットフォームとして幅広い世代に利用されており、情報収集やエンターテイメントの重要なツールとなっている。これまでのテレビを置き換えているから利用時間も長くなるだろう。Instagram、X(旧Twitter)、TikTokなども、それぞれ独自の機能と特徴を持ち、多様なユーザー層に利用されている。これらのプラットフォームは、個人の情報発信や趣味の共有、社会的な議論の場としても機能しており、不可欠なコミュニケーションインフラとなっていると言えるだろう。

だが、SNSとスマホ以前になかった問題も起こっている。SNSの過剰な利用は、メンタルヘルスに多岐にわたる影響を与えることが、多くの研究によって示唆されている。ドイツの研究では、1日にわずか30分でもSNSの利用時間を減らすことで、ストレスの軽減や仕事の満足度向上が期待できると報告されている。これは、嬉しい話で、デジタル・デトックスの努力の励みになる。また、理化学研究所の研究では、SNSの閲覧といった一対多のオンラインコミュニケーションが、現実世界での対面交流の減少を背景に、孤独感を増加させる可能性が指摘されている。

日常生活においても、SNSに過度な時間を費やすことは、現実世界での人間関係を希薄にし、孤立感を増大させるようだ。また、SNS上で過度に理想化された体型に関する情報に触れることで、摂食障害のリスクが高まったり、睡眠不足によって日中の疲労感が増したりすることも報告されている。高校生に関する調査では、SNSの利用によって趣味や消費活動が増えるという側面もある一方で、学業への影響やネット依存への不安を感じている割合が高いことが明らかになっている。

利用削減方法

SNSとのより健全な関係を築くために多少の注意をすることで、完全にSNSをやめないまでもなるべく利用時間を制限して影響を軽減することができる。

1. スマートフォンの標準機能を利用した時間制限

多くのスマートフォンには、SNSの利用時間を管理するための便利な機能が標準搭載されている。これらの機能を活用することで、追加のアプリをインストールすることなく、手軽に利用状況の把握と制限を行うことができる。

iOS 「スクリーンタイム」

iPhoneやiPadに搭載されている「スクリーンタイム」は、アプリの利用時間、通知の頻度などを詳細に把握し、利用制限を設定できる強力な機能である。

設定方法

  • 「設定」アプリを開く: ホーム画面にある歯車のアイコンをタップする。
  • 「スクリーンタイム」を選択: 設定メニューの中から「スクリーンタイム」を見つけてタップする。
  • 「スクリーンタイムをオンにする」をタップ: 初めて利用する場合は、この設定を行う。
  • 「App使用時間の制限」を選択: 利用時間を制限したいアプリのカテゴリまたは個別のアプリを選択する。
  • 「制限を追加」をタップ: 制限したいアプリ(例:Instagram、X)を選択し、「次へ」をタップする。
  • 1日の使用時間を設定: スライダーを動かして、1日に許可する利用時間を設定する(例:30分、1時間)。
  • 「追加」をタップして完了: 設定した時間になると通知が表示され、アプリの利用が制限される。

Android「デジタルウェルビーイング」

Androidスマートフォンに搭載されている「デジタルウェルビーイング」も、アプリの利用状況の確認や利用制限の設定、通知の管理などが行える機能である。

設定方法:

  • 「設定」アプリを開く: ホーム画面またはアプリドロワーにある歯車のアイコンをタップする。
  • 「デジタルウェルビーイングとペアレンタルコントロール」を選択: 設定メニューの中から該当する項目を見つけてタップする(機種によって名称が異なる場合がある)。
  • ダッシュボードを確認: アプリごとの利用時間が表示される。制限したいアプリをタップする。
  • 「アプリタイマー」を選択: 砂時計のアイコンをタップする。
  • 1日の使用時間を設定: 時間と分を設定し、「OK」をタップする。
  • フォーカスモードの活用: 特定の時間帯に指定したアプリの通知を停止したり、アプリ自体を一時的に利用できなくしたりする「フォーカスモード」も利用できる。

2. 利用時間管理に特化したサードパーティ製アプリ

より詳細な利用状況の分析や、標準機能以上のカスタマイズを求める場合には、サードパーティ製のアプリを利用することも有効な選択肢となる。

AppBlock (Android)

「AppBlock」は、特定の時間帯や場所に基づいてアプリの利用を制限したり、通知をブロックしたりすることができるアプリである。

設定方法:

Google Playストアから「AppBlock」をインストールする。

  • アプリを起動し、必要な権限を許可する。
  • 「プロファイル」を作成: 利用制限を適用する時間帯や曜日などを設定する。
  • 「アプリリスト」で制限したいアプリを選択する。
  • 必要に応じて、特定のWi-Fiネットワークに接続時のみ制限を解除するなどの詳細設定を行う。
  • 「ブロックを有効にする」と、設定したプロファイルに従ってアプリの利用が制限される。

Forest (iOS & Android)

「Forest」は、スマートフォン依存を減らすためのユニークなアプローチを提供するアプリである。アプリを起動して木を植えると、設定した時間内は他のアプリの使用を我慢することで木が育つ。途中で他のアプリを開いてしまうと木は枯れてしまうため、ゲーム感覚でスマートフォンから離れることができる。

設定方法:

  • App StoreまたはGoogle Playストアから「Forest」をインストールする。
  • アプリを起動し、利用規約に同意する。
  • 木を植える時間を設定する(例:30分、1時間)。
  • 「植える」ボタンをタップするとタイマーが開始され、その間は他のアプリの使用を控える。
  • 設定時間経過すると木が成長し、コレクションに追加される。

OurPact (iOS)

「OurPact」は、主にペアレンタルコントロールを目的としたアプリであるが、自身のリテラシー向上にも活用できる。特定のアプリの利用時間をスケジュールしたり、完全にブロックしたりすることができる。

設定方法:

  • App Storeから「OurPact」をインストールし、アカウントを作成する。
  • 指示に従い、デバイスの設定を行う(プロファイルのインストールが必要な場合がある)。
  • アプリ内で制限したいアプリを選択し、利用時間の上限や利用できない時間帯を設定する。
  • 設定を保存すると、指定したルールに従ってアプリの利用が制限される。

3. アプリの整理とアカウントの見直し

スマートフォンにインストールされているSNSアプリの数を減らすことも、利用時間削減の有効な手段である。使用頻度の低いアプリは思い切って削除することで、物理的にアクセスしにくい状況を作り出すことができる。アプリを削除してもアカウント自体は残ることが多いため、必要であれば再度インストールすることで利用を再開できる。さらに、積極的に利用していないアカウントは一時停止や削除を検討することも、デジタル・デトックスの一環として有効である。多くの場合、プラットフォーム上でアカウントの一時停止や削除の手続きを行うことができる。これは、決定的な方法だが、たまに連絡に使うこともあるので現実的には難しい。

4. オフライン活動への積極的な参加

SNSに費やす時間を減らすためには、現実での代替となる活動を見つけることが重要だそうだ。趣味に没頭したり、運動を取り入れたり、読書をしたり、自然の中で過ごしたりするなど、オフラインの活動を積極的に計画し、実行することで、SNSへの依存度を下げることができるという。だが、仕事もあるし、山登りの会や写真の会に参加しているし、会社や大学の同窓会的なものもあるが、だからと言ってSNSの利用を減らすことに有効とも思えない。

5. SNSデトックスの実践

一定期間、意図的にSNSの利用を完全に断つ「SNSデトックス」を試みることも、自身の利用習慣を見直し、依存から脱却するための有効な手段である。デトックス期間中は、SNSに費やしていた時間を他の活動に充て、変化を観察することで、SNSとのより健全な向き合い方を見つけることができるだろう。ただし、完全にやめる場合は、友人や家族との連絡手段を別途確保しておく必要がある。これは、利用時間削減に有効な方法だ。禁酒と同じで、しばらく続けると気にならなくなる。

6. 利用目的の明確化と情報選択

SNSを利用する際に、その目的を明確にすることも重要だ。何のために利用するのかを意識することで、無駄な情報に触れる時間を減らし、必要な情報だけを効率的に収集することができる。また、フォローするアカウントを厳選し、質の高い情報やポジティブな影響を与えてくれるコンテンツに絞ることで、情報過多によるストレスやネガティブな感情を軽減することができるだろう。だが、これも、アルゴリズムが様々なコンテンツを推薦してくるので、誘惑に負けることが予想される。だから、目的を絞っていても、うまくいかない可能性がある。

以上のような方法を検討して、SNSとのより健全な関係を築くためには、自身の利用状況を把握し、目的に合ったツールや方法を活用することが重要だ。スマホの標準機能はもちろんのこと、サードパーティ製のアプリも、利用時間管理を効果的に行う上で強力な味方となる。まずは、メールによる通知も含めて、スマホの通知をオフにすることから始めててはどうだろうか。

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