インターネット上のプライバシーについては今まで何年も問題になってきた。
訪問したサイトや購入した商品の広告に追いかけられ、不思議な思いをした人は多いと思う。これは使用しているブラウザに、行動履歴をトラッキングするためのクッキーが保存されるためだ。現時点ではAppleのSafariやFirefoxを除いて、クッキーを制限する機能はない。
今は、どのブラウザが使用されているかについて見てみると、デスクトップとスマートフォンでは若干違うが、Google Chrome, Edge, Safari, Firefox, IEが主要なブラウザで、なかでもGoogle Chromeが圧倒的に強い。世界と日本の違いでは、日本ではIEがまだ使われている。EdgeもIEもMicrosoftのブラウザで、IEについては既にサポートが終了しているので、MicrosoftとしてはEdgeに移行してほしいところだろうが、まだ使用を続けている人が多いようだ。
ブラウザのプライバシー保護については、すでにSafariはITPと言う技術によって第3者クッキーをブロックしている。またFirefoxもトラッキングを防ぐ機能を装備している。Googleも2022年までには第3クッキーをサポートしないと発表しているので、クッキーを使ったトラッキングは、もうすぐに使われなくなる予定だ。
しかし、既にトラッキングをミニマムにするブラウザも登場している。これはプライベート・ブラウザと呼ばれDuckDuckGoやBraveが代表的なものだ。どちらも、登場して、すでに3年ほどになる。DuckDuckGoは、モバイル用アプリなので、使用しているMacにBraveをダウンロードして使用してみた。
ダウンロードの際に、インテルのチップか最新のAppleM1のチップが答えるボタンがある程度で、簡単にダウンロードが終わる。ブラウザというは重いソフトでないし、最新のテクノロジーという訳ではないからだ。
立ち上げると、ブックマークのインポートを聞かれるので、現時点で主に使用しているGoogle Chromeを選ぶと、あっという間に今使用しているのと変わらないブラウザ画面が登場した。大きな違いは、広告が表示されなくなったところだ。広告がなく、きれいに画面が収まっているサイトと、広告と表示されるグレイのエリアが残るサイトに分かれるが、広告を見られないと言うことには変わらない。どちらにしてもシンプルに記事が読める事は事実だし、広告を読み込むためのデータ量が変わるので読み込みも速くなるかもしれない。これは特にデスクトップよりもモバイルの場合には重要な要素である。たくさんのサイトをまだ見ていないが、Facebookのインフィールド広告は普通に表示されている。
ただ個人的には、広告を研究している身としては広告が表示されないブラウザを使うと言うことには若干抵抗があるので、デフォルトでは使用しないことにする。もしこのようなブラウザが中心になれば、世界のインターネット広告費300兆円のかなりの部分が運用できなくなり、広告業界には大きな影響が出る。
これを避けるためには、かつての新聞や雑誌、そして初期のインターネットのように、アドサーバーから配信される運用型広告ではなく、記事の中に埋め込まれた広告だけとなる。この場合には今行われているように、個人の行動履歴や属性に合わせた広告が配信できなくなるので、その効果は著しく減少する。
第三者クッキーのサポート停止と合わせてブラウザの動向によっても、今後のインターネット広告の方向性が大きく変わるだろう。そして、それは広告に依存しているメディアなどのインターネット企業にも大きな影響がある。