インターネットは、世界中のサーバーのネットワークです。そのネットワークにパケットと呼ばれる小分けにしたデータをバケツリレーのように送っていきます。1990年にハイパーテキストと言う、リンクをクリックして別のサイトの情報を参照できる技術を組み合わせたWorld Wide Webが発明されて、情報やものをつなぐ仕組みになりました。
インターネットの入り口争い
情報検索、娯楽、通信や購入・決済までをインターネットは可能にします。その歴史は、入り口を巡るものでもあります。どこから始めるかをめぐって、戦いが繰り広げられてきました。
入り口を握ると無料のサービスであっても広告収入やビッグデータの取得と言う形でビジネスが成り立ちます。インターネットの進化とともにこの入り口の形は様々に移り変わってきていました。
ブラウザ戦争
インターネットとPCが普及すると、ウエブページは増えました。発展するインターネットの入り口を最初に抑えたのは、ブラウザです。ブラウザとは、ウエブページを閲覧するソフトです。「ネットスケープ」が市場を席巻すると、マイクロソフトも「IE」を開発し、ウインドウズに組み込むことで、第一次ブラウザ戦争に勝利しました。しかし、この天下も、Googleが2008年に「Chrome」を発表するまででした。
検索からポータルへ
次の入り口を巡る争いは、検索が戦場でした。ウエブサイトが増加を始めていた1994年に、目的のサイトにたどり着く方法として米国Yahoo!が人力によるディレクトリを作りました。この検索の機能により、Yahoo!はインターネットの玄関(ポータル)の地位を確立しました。
ロボット検索エンジンが主役に
Yahoo!は、検索サービスとして人気を集め、成長しました。しかし、企業や個人が作るウェブサイトが増殖し、人力作業では追いつけなくなると、様々なロボット型検索エンジンが登場。競争状態が続きます。勝ち抜いたのが、Googleでした。検索を制したGoogleの広告収入は今では年間約20兆円です。
SNSが入り口を握る
スマホの登場により、インターネットは多くの人が日常に、どこででも使うものになりました。これに同期して急速に普及したのが、SNSです。リアルの人間関係から始まってインターネット上の関係や関心・趣味までの、身近なコンテンツが強い力を持ち、参加者が増えると、その周辺でさらに参加者が増える好循環で利用者を増やしていきました。Facebookは、Googleに続く第二位の広告売上をあげる会社になりました。
アプリに移る
スマホが中心になると、入り口は、アプリに変わります。スマホのホーム画面にアプリが配置されることが重要となったのです。入り口のアプリとなって、そこから様々なサービスを使うようなアプリを、スーパーアプリと呼びます。Yahoo!とLINEの経営統合は日本型スーパーアプリを目指すものです。
入り口を制し、そこから広告収入とビッグデータを得るというビジネスモデルは、これからも残ってゆきます。入り口の覇権争いは続いてゆくのです。
【広島経済レポート寄稿文】