DAZNの2020年は13億ドルの赤字

by Shogo

DAZNは日本では、2月22日から月額料金を値上げした。また、親会社のアクセス・インダストリーから43億ドルの借り入れを受けて、資本を増強した。

このような状況から、DAZNの財務状態について懸念を感じた。実際に、それは事実であったようだ。DAZNは、決算書を公表して、2020年の決算が13億ドルの赤字であったことを発表した。だから、親会社のアクセス・インダストリーのオーナーのレナード・ブラバトニクは43億ドルの資金提供に応じたものとみられる。

2020年の収益は、8億7180万ドルに過ぎず、2019年に対してわずか6%の成長であった。これは2019年の76%の増収から見ると大きく後退している。DAZNによれば、2020年はコロナ禍のために、ほとんどのスポーツイベントが中止あるいは大幅縮小であったことが理由だとしている。確かにこれは事実で、新たな契約どころか大幅なキャンセルが出た可能性も大きい。

コロナ禍のステイホームよって、Netflixのような定額配信サービスは大幅に契約者数を伸ばしたが、DAZNのようなスポーツ配信は、そもそも中継するスポーツそのものが中止・縮小で、大きくビジネスが毀損したのは事実だ。

今回の2月22日から値上げも、このような状況での財務の改善のためにやむを得ない選択と思われる。

昨年10月の日経の記事によれば、DAZNの契約者数は2021年9月時点で170万人程度と言う。

ダゾーンの国内の加入者数は非公表だが「9月時点で170万人程度と聞く」。(中略)「安定的に黒字を出し、契約済みの放映権料を支払い続けるには300万人が必要とみられる」。Jリーグもダゾーンと総額2239億円の放映権契約を2028年まで結んでいる。

日本経済新聞2021年10月9日

今の状況では、近日中の300万人達成は難しそうだ。だが、今回の大幅値上げで200万人程度の契約者で黒字転換が可能ではないかと考えられる。これが値上げの理由だろう。

配信サービスの競合会社の乱立とAmazon Prime VideoやDisney+がスポーツ配信にも参入して、スポーツの放送権の高騰が起こっている。この状況で、DAZNの将来は不透明なりつつある。その兆候の一つは、BT Sportsの買収によるプレミアリーグとUEFAチャンピオンズリーグの放送権獲得の失敗だ。赤字が続くようだと、レナード・ブラバトニクがプラグを引き抜く可能性もある。

Jリーグの将来も、このままDAZNが、ビジネスを続けられるかどうかにかかっており、心配な面もある。過去にも巨額の放送権料を払って、放送権を獲得した会社、事業が継続できず、スポーツ団体に経済的な問題が発生したと言うケースもある。

日本のスポーツビジネス将来の為にも、今後のDAZNを注視する必要がある。

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