電通は2021年日本の広告費で、インターネット広告費が、マス4媒体の合計の広告費を抜いたことを発表している。日本の2021年のインターネット広告費は、前年比121.4%で、2兆7052億円となっている。停滞している広告市場では、インターネット広告だけが順調に成長した。
アメリカでも、IAB(Internet Advertising Bureau)が、アメリカ国内のインターネット広告費を発表した。2021年のインターネット広告費は、前年比は135%で、1890億ドルとなった。これは日本円では約23兆円となり、日本の総広告費の3倍以上となる。
これは、2019年から2020年の成長率の12.2%を大幅に上回る大きな成長率となっている。コロナ禍からの回復の反映だ。
この調査は、IABの委託を受けてプライスウォーターハウスクーパースが行っている。セクター別では、Podcast、ストリーミング音楽・ラジオなどのデジタルオーディオの広告収入が、前年比57.9%の49億ドルとなり、高い成長となった。ただ、デジタルオーディオは全体からは構成比が少ない。デジタルビデオも前年から50.8%伸び、395億ドルに達したと言う。TikTok、Twitter Facebook、 Instagramなどのソーシャルメディア広告は、前年から39.3 %増の577億ドルを記録した。ソーシャルメディアの広告費の成長は著しい。
このように、デジタルメディアでの広告は急速の成長遂げている。しかし一方ではNetflixに代表されるようなサブスク型の広告のないデジタルメディアも加入者を増やしており、これが今後広告収入に影響与える可能性がある。Netflixはアメリカ国内で昨年だけで2,500万人の会員を獲得している。AmazonもAmazon Prime会員数が、5,000万人増加して2億人を突破したと発表している。このような広告の入らないデジタルメディアに視聴者を奪われ、広告費の成長が影響されることは予想される。
サブスク型のメディアの成長の広告に影響与える一方、デジタルメディアのユーザのプライバシー保護のためのユーザトラッキングの規制は、今後、デジタルメディアでの広告のターゲティングの精度を影響与え、広告収入が減少する要因となる。
2021年には、AppleはiOS 14でプライバシーポリシーを変更し、パーソナライズされた広告をオプトアウトできるように仕様変更した。プライバシー保護のための規制に対する懸念からMetaのFacebookやInstagram、あるいはSnapchatなどのその他のソーシャルメディアでも広告収入の伸びが鈍化した。GoogleのYouTubeも、2021年第4四半期の広告収入の伸びは、それまでの50%近い数字に比べると、25%と鈍化している。
2023年に予定されているGoogleの第三者クッキーの廃止に向けて、プライバシー保護のための様々な対策が取られることが予想される。これが2022年のインターネット広告費にどのような影響与えるのか注目される。