アンブッシュ・マーケティング

by Shogo



車の後の窓に貼られているステッカー

目立つステッカー

最近街にあふれるステッカーがある。タクシーに乗っていても、街を歩いていても同じステッカーを貼った車を良く見かける。10台に2~3台に貼られている感じがする。何のステッカーか良く分からなかった。かろうじて2008と書かれているのは分かった。オリンピックに向けたメッセージだろうと思っていた。

写真を撮った

写真を撮ってよく見ると、中国石化と北京テレビの名前が入って「2008年をスムーズに進めよう」というメッセージが入っている。その時はアンブッシュ・マーケティングだと思った。つまりオリンピックを放送するテレビはCCTVだし、中国石化もスポンサーではなく、関係ない両者がアンブッシュで手を結んだと理解した。

「2008」と「北京」

「2008」は権利の対象ではない。同じく、「北京」も権利の対象ではない。権利の対象は北京オリンピックとか北京オリンピック2008であるが、「北京2008」となるとオリンピックを意味しているのでスポンサー以外はマーケティングに利用できないことになっている。利用したら、IOCや北京オリンピック委員会から警告を受けて、止めなければ損害賠償請求を受けることになるだろう。彼らはオリンピックのスポンサーの称号やマーク類のマーケティング利用に年間数十億円という金額で売っているのだから当然だ。

地上最高の祭典

地上最高の祭典とか最大のスポーツ・イベントなども利用できないということになっている。意味することが明白だからだ。前にシャープがやった、「この夏、スポーツを楽しみましょう。」(正確ではないと思う)といったものはOKだったようだ。明確な基準がないので、曖昧な場合には、そのアンブッシュ・マーケティングに権利を侵されたスポンサー、例えばAV機器だとパナソニックが強硬に権利侵害を出張しない場合はIOCなども動かないということもあるだろう。

「2008年をスムーズに進めよう」

これは、2008年しか出てこないのでOKなのだろう。王老古という飲料メーカーがやった「北京に幸せを」も北京だけだから問題なかった。そうでなければ、オリンピックのスポンサーの老舗のコカコーラが訴えていただろう。

中国石化

中国石化は調べてみると、スポンサーのようだ。オリンピックのスポンサーはTOP(The Olympic Partner)と呼ばれるワールドワイドのスポンサーと北京オリンピック委員会が契約する中国国内のスポンサーに分かれる。中国国内のスポンサーにはさらに三段階あって、partners、sponsors、suppliersがある。中国石化は11社のこの中の最上位のpartnersの契約をしている。

なぜ?

中国石化がなぜ、こんなアンブッシュ・マーケティングをしているかは分からないがいくつかの推測。

1.広告キャンペーン上、北京テレビ局と組んでキャンペーンをする必要がどうしてもあった。北京テレビ局はオリンピックに関係ないのでアンブッシュになった。

2.中国石化はスポンサーであるが、今回の商品の潤滑油は契約カテゴリー外だから。北京オリンピック委員会のスポンサーのページによると最上位のPartnerには同業の中国石油も含まれれる。両者のカテゴリーの説明がどこにもないので分からないが、中国石化が潤滑油のカテゴリーを持たなければアンブッシュでなければ実施できない。

アンブッシュ

アンブッシュは待ち伏せという意味だが、利口そうに聞こえるからとこの言葉を嫌う人は多い。特に権利を持って売っている人だ。前に出たことがあるオリンピックのセミナーではIOCの人が、寄生虫マーケティングというべきだと熱弁を振るった。気持ちは分かります。1円も金を払わず利用されていたら頭にきますよね。


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