カタール大会が開幕

by Shogo

FIFAワールドカップ・カタール大会が開幕した。開催国枠で出場したカタールが意外と健闘したのに驚いた。エクアドルはFIFAランキングで44位。日本の24位からは、かなり下だが、それでもカタールがボロ負けするのかと思っていたら2-0で踏みとどまった。AFCアジアカップ2019で優勝しただけのことはある。

今回のワールドカップは歴史上初めてインターネット配信で試合が見られる。試合をAbemaTVでも見た。4台のカメラを切り替えられることもでき、単純にテレビで見るよりも良い視聴経験だ。テレビ放送だと、クローズアップの画面に切り替わることも多く、全体の流れが見えないが、全体カメラで上空からずっと試合を見ることもでき、選手の動きなどがよくわかる。サッカーの試合視聴には、マルチ視点の配信は最適かもしれない。

カタール大会では、従来のジャパンコンソーシアムから日本テレビやTBSが脱落して、AbemaTVが入り、NHK、テレ朝、フジテレビと中継を分け合っている。というか、AbemaTVがメインで、NHK、テレ朝、フジテレビが一部の試合を分けているという状況だ。今後、日本ではワールドカップのような国際スポーツ大会の放送権の高騰に伴い、テレビ局からインターネット配信会社に中継が移行していくことは確実だろう。それを、今回経験しているわけだ。目の前で、一つのメディアの衰退と別のメディアの勃興を明確に見ることができる。時代は移ってゆく。

カタール対エクアドルの試合に先立ってオープニングセレモニーが開かれた。前触れもなく、BTSのジョングクが登場した。会場は、これにはかなり盛り上がっていた。セレモニー戦隊では、風船を使ったマスコットの登場など、うまく空間を使った演出だった。FIFAワールドカップやラグビーワールドカップでは、開幕戦の前にセレモニーが行われたために、オリンピックと違い、大きな造作物を作れない。このために、簡単な仕組みで演出することが求められる。それで多くの風船というのが良いアイディアで、ボリューム感や華やかさのある演出だった。。

有名人の登場はジョングク以外にもモーガン・フリーマンが、身体障害者の少年と掛け合いをするなど、カタールの人種や障害者差別などに配慮した内容になっているところが、かえって興味を引いた。非難すべき政治体制を、スポーツを使って見えなくする。まさに、スポーツウォッシュの典型的な手法であろう。

カタールのタミム首長の開会宣言が映る間、隣に座っているFIFAのインファンティーノ会長の仏頂面が印象的だった。彼は、直前にインタビューの中で「カタールを批判するのではなく、私を批判してください」と言っている。まさにそうだ。世界中から非難されている差別的なカタールで開催することを決めたのはFIFAだからだ。

しかも直前に会場でのビールの販売を中止するなどは、彼にとっても頭が痛い問題であっただろう。アンハイザー・ブッシュは契約違反を理由に損害賠償請求するだろう。あるいは、すでに契約金の値引きをFIFAが提案しているのだろう。しかも、数千ドルを支払ったホスピタリティ・チケットの購入者やFIFAのゲストは、会場ではビールが飲めるのだから、一般のファンがこれを知ると暴動が起こる可能性すらある。

世界中でカタールに対する批判の声が上がっているが、それでもワールドカップをボイコットしようとする動きはあまり盛り上がらなかった。イギリスで大会直前に行われた調査によれば、11月20日から始まる試合をボイコットすると答えた人は4%にとどまり、大会スポンサーをボイコットすると答えた人はわずか10%だった。やはり、みんな試合は見たいのだ。

カタールのピッチ上で戦われる各国代表の試合、メッシ、ロナウド、ネイマールと言った有名選手のプレーによって、カタールの人権侵害などの問題から目を逸らす。しかし、我々はそれほど馬鹿ではないので、カタールの行っていることを、金の力を使ってスポーツや豪華な装飾で隠そうとしていることを忘れているわけではない。

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