コダックのフィルムがまた値上がりした。普段使っているT max 400 の135が 36枚撮りで3,110円。ブローニーの5本パックが15,050円だ。どちらも1本3000円ほど。トライX 400だと、135の 36枚撮りが2,900円、少し安い。しかしブローニーのトライX 400はT max 400と同じ値段の15,050円だ。大した事ではないが、この価格設定が不思議な感じがする。
10年以上前に渡部さとるさんのワークショップや白岡順さんの講座で暗室を学んでフィルムで写真を撮り始めた。その頃に、仲間と話していたのはフィルムがどんどん高くなって、いくらになったら止めるかと言う話だった。その時には1,000円と言う意見が多かった。多分当時はまだ300円ほどしていなかったものと思われる。
当時は1本1,000円はとても高いものと思われた。というのも、かなりの本数を毎日のように消費していたからだ。それが1本3,000円である。ブローニーを6×6でとって12枚だから、1枚あたり250円と言うことになる。海外に行った時などはローライやハッセルで50本撮ったこともある。今そんなことをしたらフィルムだけで15万円と言うことだ。とてもそんな金額を払えないので、ではデジタルでと言うことになってしまいそうだ。
今年の夏に、コロナもおさまってきたので、旅行に出かけようと考えている。その際にローライで写真撮ることを考えている。コダックがこれだけ高くなると、いつものT maxではなく、もう少し安いものにと考える。候補としてはイルフォードのDelta400だ。ヨドバシで見てみると1本1,150円。この価格なら何とかなりそうだ。ただし「お取り寄せ」になっているので、本当にこの価格で手に入るかどうか確認する必要がありそうだ。
ついでに、印画紙を注文しているB&Hのサイトで見るとDelata 400 は1本9ドル。1ドル130円で計算すると1,080円になるので、それを考えると本当に1,150円でヨドバシで買えるのであれば、わざわざアメリカから送料を払って取り寄せる必要は無い。まだ時間があるので急ぐ必要はないが、とりあえずヨドバシ行って店で聞いてみるのが良さそうだ。
値上げの文句を言っているが、本当はフィルムを作り続けてくれていることに感謝しなければいけないのだろう。フィルムカメラはフィルムがなければ単なる置物だ。一昨年少し処分したが、それでもまだかなりの台数を持っている。いつまでフィルムの生産が続くのだろうか。富士フイルムも昨年値上げをしたが、カラーネガ、カラーリバーサル、モノクロフィルムと一通り生産は続けてくれている。モノクロフィルムのネオパン 100 ACROS Ⅱは135とブローニーの両方ある。しかし感度100は使いづらいので、フジは選択肢に入っていない。しかしこれも、他に選択肢がなければ100でも使うはずなので、できるだけ長くフジにも頑張ってもらいたいと思う。
今や写真はデジタル、それもスマホで撮られる。写真を見るのも、スマホやタブレット、PCを通してがほとんどと言うことを考えると、透過スクリーンに最適化された、デジタル写真が最も適しているのは事実だ。フィルムを残して欲しいと言っている自分も以前のようにフィルムカメラを持って歩いてはいない。しかも最近はデジタルカメラでさえ持って歩かなくなった。スマホで充分きれいに撮れるからだ。このブログの写真もほとんど全てをiPhoneで撮っている。
スマホの普及で、写真は本当に身近なものになった。写真の誕生は、1826年のニエプスの2階の窓から見た風景とされている。それから、もうすぐ200年だ。この200年の歴史の中でこの10年ほどが写真が最も普及した時期であろう。デジタルでの写真が普及し、その後のスマホの普及により爆発的にデジタル写真が普及した。フィルム消えていくのは、他の様々な技術の発展を考えても自然なことである。馬車に代わって自動車が登場したときに、馬車に乗り続けたいと言った人も多分いたはずだが、それもどんどん消えていく。
今のフィルム写真にしろ、親しんだ人がたくさんいるが、これも徐々に数が減っていく。時代は葬式とともに発展するのだ。フィルムの時代を知らない。多くの世代が登場することによって、デジタル写真以前の技術や製品も徐々に消えていく。沈む太陽を呼び戻せないようにフィルムもそれを使う人も徐々に消えていくのだろう。
そう考えると、3,000円になったからといって、コダックT maxをイルフォードに乗り換えてしまうのは、コダックに対して悪い気もしてくる。コダックも値上げをしたくてしているのではないだろう。コダックに生産を続けてもらうためにも1本3,000円でもコダックを買うべきなのかもしれない。