ソフトバンクはPerplexity AIに1千万〜2千万ドルの出資をしているらしい。孫さんにしては、AIという有望な領域を考えると小さな額だ。だが、ソフトバンク、ワイモバイルやLINEMOの傘下の三キャリアの契約者にPerplexityの有料版、Perplexity Pro、通常価格月額2,950円の無料提供を2024年6月から開始した。この金額も負担するのだろうから、Perplexityにとっては、ありがたい出資だろう。
Perplexityの特徴は、生成AIと検索サービスの両者を同時に行えることにある。このために、ハルネーションが少なく、しかも情報の出所のリンクが同時に表示されるので安心して使える。個人的にも検索では、GoogleでなくてPerplexityを使うことが増えてきた。
このソフトバンクの無料体験1年で、日本でも利用者が増える可能性がある。日本では、これが良いプロモーションになる。アメリカでは、普及のために広告キャンペーンを行なっている。ChatGPT、GeminiやClaudeとの競争が激しいから広告が必要なのだろう。
今月から最大規模の広告キャンペーンを開始している。高い視聴率を持つ、ESPNとABCの「Monday Night Football」の前半でもCMが放映されるようだ。Ad Ageのサイトで見たが、PerplexityのCMは、最先端技術を強調して、視聴者を混乱させるようなことは避け、ユーモアと有名人を起用した、より大衆へのアピールを選択する作りになっている。
過去に49ersのヘッドコーチ(HC)を務め、ミシガン大学をナショナルチャンピオンシップに導き、今年からロサンゼルス・チャージャーズのHCとなったジム・ハーボーを起用したCMだ。まず、これほどの著名人の起用でつかみはできている。
60秒の広告では、ジム・ハーボーHCが記者会見に登場する。質問にうまく答えられずにいるが、Perplexityのロゴが付いたボトルから一口飲むと、ハーボーHCは、湿度がフットボールの試合に与える影響から東京のラーメン店の推奨まで、どんな質問にも滑らかに知識豊富な回答を繰り出す。
このラーメンのやり取りは、CMの中のユーモアのパートになっている。記者が、東京のベストなラーメン店はと聞くと、「どんな種類のラーメン?」と応じて、記者が辛味の味噌味と答えると、ハーボーHCは「キカボ」と返事する。当然、このキカボは架空のラーメン店だろう。
記者会見をAI広告の前提として使うアイデアは良い。それは、質問と回答の連続である場面だからだ。だが、Perplexityを飲み物として表現し、技術としては表現しなかったのは、どうだろうか。AIを身近なものとして印象つけたいのかもしれないが、個人的にはどうかと思う。
Perplexityは、「Monday Night Football」のような注目度の高い番組で広告を放映することで、誰のどんな質問にも答えられるということを訴えているようだ。この広告が成功して、ユーザーがどの程度増えるのか注目だ。