Googleは、2023年後半に、そのブラウザGoogle Chromeから、ユーザを追跡する第3者クッキーを廃止すると発表している。今週、すでに発表していた第3者クッキー後の広告のターゲッティングのシステムを廃棄して、さらに新しいシステムのテストを開始すると発表した。
Googleは、世界最大の広告販売事業者である。広告収入に依存しているために、広告のターゲティングの正確さが命である。このため、第3者クッキーを廃止した後の、広告のターゲティングについての研究を進めていた。そのシステムは、FLoC( federated learning of cohorts)と呼ばれ、ターゲットの閲覧履歴を個人ではなくグループで把握して広告を配信する。。しかし今回、その開発中のターゲティングのシステムを廃棄して、さらに新しいシステムのテストを2ヶ月以内に開始すると発表した。
新しいシステムはTopicsと呼ばれるシステムで、クッキーを使わずにブラウザの閲覧履歴から、そのユーザの興味関心に基づいて広告を配信する。しかし、この履歴は、三週間しか保存しないと言う。
Google Chromeは、世界の 3人に2人が使う最大のシェアを持つブラウザだ。そのためにプライバシー保護の観点からも、広告の有効なターゲティングの観点からも非常に重要なブラウザである。このTopicsがどのように機能するのかまだわからない。
FLoCでは、AIを使ってGoogle Chromeのユーザを分析し、その閲覧履歴から興味関心に基づいて何十万ものグループを作り、そこからグループを選択して広告を配信するシステムであった。
しかし新しいTopicsでは、人間が介在して閲覧履歴から興味関心を推定してグループを作る。その数は多くても数千の単位になると言う。またそのグループ化の過程においては性的指向や人種などのセンシティブな性格を利用して分類しないと言う。
Googleが廃止するのは、サイトを跨ぐ第3者クッキーだけなので、Googleにとっては世界中の何十億人と言うユーザはすべて、廃止されない第1者クッキーカバーされている。このために広告主と、プライバシー保護と競争環境維持の2面の関心を持つ各国の政府当局は、Googleの今後の計画に強い関心を持っている。どちらも第3者クッキーの廃止により、Googleだけが、独占的に個人情報を持つことになることを危惧しているのだ。
第3者クッキーの廃止でも、3週間はユーザの閲覧履歴を保持している。このデータは、3週間後に、外部の広告主が利用できなくなるだけであって、Googleが使えない訳ではない。第3者クッキーの廃止の2023年後半まであと1年半の間に、GoogleがどのようにTopicsを説明して、広告主や政府当局、そしてさらにユーザに納得させられるのだろうか。