TikTok 禁止か売却か

by Shogo
夕陽の当たる塀

今週に入って、TikTokをめぐるトランプ政権の動きが激しくなってきている。

【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は中国企業の北京字節跳動科技(バイトダンス)に対し、動画投稿サービス「TikTok(ティックトック)」の米国事業を9月15日までに売却するよう求めた。交渉が不成立なら利用を禁止するとも表明した。売却益の一部を国庫に納めることも要求し、中国勢の排除へ強権を乱発している。ティックトックを巡っては米マイクロソフトが2日、買収交渉に乗り出していると表明した。トランプ氏は3日、記者団に「マイクロソフトが買収しても構わない。9月15日までにマイクロソフトかほかの米企業への売却が決まらなければ、ティックトックの利用は禁止する」と主張した。

日本経済新聞 2020年8月4日

事業の禁止か売却ということで、自由主義の国では今までないような強権の発動である。2002年の911以来のことだとおもうが、「安全保障」を理由にすれば何でも可能なのが、トランプ政権に限らずともアメリカの現実だ。

さらに個人情報保護は喫緊の課題であり、2016年の大統領選挙ではトランプ陣営が個人情報を活用して、特定の細分化されたターゲットに対してきめ細かいメッセージを打ち分けたり、フェイクニュース的な手法を使って成功したことも記憶に新しい。アメリカに限らず私たちの現実は、細かな個人情報が大手のネットビジネス・プラットフォームに握られているのは事実だ。これを悪用することが可能なことは多くの事例が証明している。個人情報が、かつての石油や領地、産業知財と同様に国際紛争の中心になってきている。日中の新冷戦においても個人情報を巡って争われてきているファーウエイに続いてTikTokが争点になっているのも個人情報の保護が争点だからだ。

TikTokは中国のバイトダンス社のショートムービーのプラットフォームだ。世界に8億人のユーザーがいると言われ、16歳から24歳の若者がその半分を占めると言われている。世界155カ国で75の言語で稼働中である。ネットのスマホ化により、動画の重要性が増しているが、その重要な一角をしめていると言える。

2017年にソーシャルメディアプラットフォームのmusical.lyを買収し、サービスを統合したこともきっかけとなりアメリカでの普及は急速に進んでいる、過去十八ヶ月でアメリカの成人では利用者が5倍以上になったということで、若者に限らず、モバイルの動画プラットフォームとして中心的なアプリとなっている。

9月15日までという期限が切られているが、マイクロソフトの買収交渉が成立するのかどうか。さらに、ファーウエイのケースのように世界各国が安全保障を理由にTikTokに対する規制や禁止に動くのかどうか、当分目が離せない。

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