アメリカのTwitterで一語のツイートがトレンドになっていると言う。レストランチェーンのWingstopがツイートした一語、4文字言葉「f○ck」。このツイートは473,000のいいねがついて、10万回をリツイートされた。他にも、CNNは「breaking news」、Wendy’sは「burgers」、MLBとNBAはそれぞれ「baseball」と「basketball」。アメリカ大統領の公式アカウントの@potusまで、「democracy」とつぶやいた。この一語のツイートはインターネット・ミームなって、広く伝染を始めている。
この一語のツイートは、実はそう新しいものではなく、古くは2019年に5月にXboxが「xbox」とツイートして、13万のいいねと1万回リツイートを記録したと言う。
Twitterは、日本語・中国語・韓国語などの全角文字だと140文字、それ以外の英語などの半角文字では280文字までツイートできる。しかし、この文字数には裏技があって、本文の後にアンケートがつけられるので、アンケートに見せかけて本文の続きを入力することができる。見た目はアンケートっぽくしなければいけないので、おかしなことになるが、文字としては続けて読めるようになる。このアンケートは4問まで入力でき、それぞれ100文字の設問を作ることができる。このために追加で400文字の入力が可能となる。このように、多くの文字が使えても、あるいは使えるからこそ、一語のインパクトはある。言いたいことの、たった一言。
それはさておき、Twitterはこのようなインターネット・ミームを素早く伝染させることについては最も適切なプラットホームである。他のプラットフォームに比べリアルタイム性が高く、アクティブなユーザーが多いからだ。
このようなインターネット・ミーム発生の原動力となり、存在感を見せたTwitter社だが、その一方で多くの問題が発生している。イーロン・マスクとの買収をめぐる訴訟合戦は続いているし、その中で出てきている偽アカウント数の数の問題は、今後のTwitter社の収益に大きな影響与えるだろう。
今週はまた大きなニュースがあった。1月に解雇されたTwitter社のセキュリティー最高責任者が上院司法委員会の公聴会に出席して、中国などの外国勢力がTwitterのオペレーションに介入する懸念とプライバシー保護に関する虚偽の政府への報告について証言した。
彼は、Twitter社内に少なくとも1名の中国国家安全保障省のエージェントがいるとの通報を、在任中にFBIから受けたと語った。その際に幹部との会話で、1名いるならその幹部は他にまだいるかもしれないとしれないが問題は無いだろうと言ったことを証言している。FBIの通報は、社内では無視して、当局には問題ないとの回答をしたという。
この問題について、そのような状況でTwitter社がオペレーションを続けるのであれば、Twitterに関係する、ユーザーのプライバシー情報が中国政府に渡る可能性もあり、委員会は大きな懸念を示していると言う。
また、偽アカウントの数については、イーロンマスクとTwitter社が激しく争っている。この問題については、内部告発者の証言を裁判に含める決定を裁判所が行っている。内部告発者は、セキュリティー問題について語っているが偽アカウントの数については、彼の権限外のためか多くを語っていない。しかしながらTwitter社のプライバシー保護をめぐる対応については多くが問題視するようになっており、内部告発者の証言がTwitter社の買収をめぐる裁判で、イーロン・マスクに有利に働く可能性が高いと思われる。
一語のツイートのような話題もあるが、内部告発者の登場によって、Twitter社を取り巻く状況はますます悪化しそうだ。
最近は、テレビをほとんど見ないしSNSも見ることもない。だが、社会や経済にとって様々なメディアが活動を続ける事は良いことだ。しかしながら、日本の報道機関を見ると、羊の群れのように全員が同じ方向に走り出すような思考停止状態になる傾向が強い。
本来は本当に大事な問題を見つけてそれを追求するような機能がメディアに求められる。経済成長戦略、少子高齢化、政府・行政の効率化、インクルージョン・ダイバーシティなど取り上げるべき問題はいくらでもある。だが、それができず、一時的にエンターテイメントのように消費されるニュースの形の情報を積み重ねることしかできていない。
大手メディアは議論すべき課題を自ら見つけて取り上げ、話題にするような能力を既に失っていることがよくわかる。そのような意味でTwitterのようなメディアは、多くの人が自分の意見を発信すると言う意味で重要だ。個人の発言と問題提起の場は確保されなければいけない。イーロン・マスクの当初の買収の意図はそこにあった。民主主義のためには自由に発言することができる場を残すべきだというのが、彼の主張だった。
当然、メディアも企業であり、収益を上げてビジネスを継続させることが必要なのは理解できる。Twitter社も含めて日本のメディアも、使命も忘れないで欲しいものだ。