イーロン・マスクの影響力

by Shogo

TwitterのXへのブランド名変更は引き続き話題が続いている。マーケティングの常識からすれば、悪手だが、すべての常識はイーロン・マスクには当てはまらない。

彼はすでに単なるビジネスマンではない。政治も含めて世界の様々な領域に影響力を持っている。

その影響力の1つは、衛星インターネットだ。衛星インターネットの会社は数社あったが、現時点ではスペースXのスターリンクが圧倒的な力を持っている。すでに4500基以上のスターリング衛星が上空で稼働しているそうだ。

現在、地球を周回する衛星は10,300基以上あり、そのうち80%が現役で稼働している。そのうちの53%が、スターリンク衛星だ。今後数年間で42,000基のスターリンク衛星を軌道に乗せる計画だ。地球の上空はスターリンク衛星で覆われることになる。

このスターリンクの計画での効果もあり、スペースXの株価は、すでに1400億ドルに達している。スターリンクが、他の衛星インターネットに対して圧倒的な力を持つのは、単に資本力だけではなく、スペースXのロケットを使って、非常に安価に衛星を打ち上げられるからだ。スペースXのロケットは、大部分が再利用が可能であるため、他の打ち上げに比べて低価格だ。今後、衛星ビジネスで、スターリンクとスペースXと競争できる会社や国の機関は存在しないだろう。

今後、スターリング衛星がインターネットの主要なインフラになる可能性は非常に高い。現時点で、スターリンクのインターネットサービスのダウンロードのスピードは、100メガビット/秒で、他のサービスと比べて遜色がない。料金は、個人の場合はスターリンク端末1台について600ドルの初期費用がかかり、月額75ドルのサービス料が必要となる。他のサービスと比べて価格が高いが、遠隔地や人口の少ないエリアでは他に選択肢がないから十分に競争力がある。そして、近い将来では、スマホが直接、衛星につながることになるのだろう。

スターリンクは、ウクライナの戦場でウクライナ軍の通信や無人機による攻撃などの兵器の運用や情報収集に使われており、この戦争の行方を左右する力をイーロン・マスクが持っていると言っても良い。

その例は、ロシアが支配するクリミア付近でスターリンクを使用したいと言うウクライナ軍の要求をイーロン・マスクが拒否したことだ。つまり、イーロン・マスクの意向で、ウクライナ軍の軍事行動も決まっている。

アメリカ政府は、NASAのミッションをスペースXに委託して一体化していると言っても良いほどだが、世界的にはイーロン・マスクの影響力に対策を講じる必要を感じているようだ、中国は13,000基のインターネット衛星を打ち上げる申請を国際機関に登録しているし、EUもスターリンクとイーロン・マスクに対抗するために民生用と軍事用の衛星群を構築するために、26億ドルの予算を昨年計上している。

イーロン・マスクは、テスラにより世界のエネルギー政策にも影響与える可能性もあり、スターリンクも合わせて、ますます政治的な力を持ちそうだ。その意味で、Twitterのブランドの価値など、あまり気にしていないのだろう。

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