アメリカ政府は1セント硬貨(通称ペニー)の製造を終了する方針を発表した。この決定は、トランプ大統領が「国家予算の無駄を削減するため」として財務長官に指示したものだそうだ。
1セント硬貨は、1枚あたり2セント以上、2023年度には3.69セントものコストがかかっているという。つまり、作れば作るほど赤字になる構造だ。2024年度には31億枚以上が鋳造されたが、これにより年間数十億円規模の無駄が発生していたことになる。
アメリカでもキャッシュレス決済の普及が進み、現金の使用頻度が年々低下している。2023年には、現金による支払いは全体の16%にまで減少しているそうだ。だから、ペニーの使用機会も減り、流通上の役割が薄れてきている。
カナダやイギリスなど、他国でも1セントや2セントに相当する硬貨の廃止が進んでいるということを記事から知った。カナダは2012年に1セント硬貨を廃止し、イギリスでも新規鋳造が行われない年が増えているという。
1セント硬貨廃止による影響
ペニー廃止後は、店舗や事業者が会計時に金額の端数を切り上げ・切り下げする対応が必要になる。カナダなどでは既に導入されており、消費者の混乱は限定的とみられているそうだが、だが、日本で行えば、切り上げで値上げの批判も出るだろう。
アメリカで1セント硬貨がなくなることで、5セント硬貨の需要が増す可能性も指摘されているようだ。しかし、5セント硬貨も製造コストが額面を上回るため、今後さらなる見直しが議論されるだろう。
しかし、アメリカではキャッシュレス決済の比率が上昇し、現金利用は支払いは全体の16%に留まるために、ペニー廃止の影響は対応可能と考えているのだろう。
日本の1円硬貨の製造コストは、1枚あたり約3円だそうだ。これは、主に純アルミニウムを使う材料費や加工費、人件費などが含まれている。だから、日本でも同じような議論が起こるかもしれない。
とは言え、政府は1円玉を売って商売しているわけではなく円滑な商取引のために機能としての1円玉を市場に流通させているだけのことだから、そのコストを通常の商売のように考えなくていいもういいような気もする。
その議論は置いておいても、2024年の日本における現金による支払いの割合は、およそ57.2%もあり、1円硬貨の廃止は現実的ではなさそうだ。キャッシュレス決済比率が低いのは良いことか悪いことか分からないが、個人的にはキャッシュレス化を進めてもらいたいものだ。昔から小銭を持ち歩くのが嫌いだった。