Netflixが郵送によるDVDレンタル事業を9月29日をもって終了した。この記事で驚いたのは、巨大オンライン配信事業者となった現在も郵送によるDVDレンタルを続けていたと言う事だ。
Netflixは、1998年にオンラインでのDVDレンタルサービス事業者として誕生した。社名に「ネット」がついているのは、店舗を持たず、オンラインによりビデオレンタルを行っていたからだ。登場のビデオレンタルの主流は、Blockbuster のように店舗を展開するのが普通だった。これに対して、Netflix は店舗を持たずネットでレンタル事業を行なった。
そして、1999年にブレイクスルーが訪れた。このときに月額15ドルでDVDを本数制限なしにレンタルできるサービスで、しかも延滞料金・送料・手数料が全て無料と言うことが評価されて、DVDレンタル事業者として成功した。
その後、2007年にビデオ・オン・デマンドによるストリーミング配信サービスを開始している。ストリーミングサービスやDVDレンタル事業のレンタル実績やその際の監督、脚本、出演者などのデータベースをもとに、オリジナル作品の制作に乗り出している。Netflixの初期の大成功オリジナル作品は、「ハウス・オブ・カード」だ。2013年の公開だから、すでに10年前だ。これ以降、Netflixは、コンテンツ製作者として大きなプレゼンスを持つになった。
「ハウス・オブ・カード」は、ケヴィン・スペイシーやロビン・ライトが主演し、監督のデヴィッド・フィンチャーが製作総指揮だった。これも、データベースから決められたのだろう。これ以降、様々なオリジナル作品を制作し、Netflixで配信を行っている。コンテンツ制作からディストリビューションまで行う、ネット時代の垂直統合モデルとして、全く新しいビジネスモデルを築いた。そして、その結果として、2023年3月には全世界で2億3250万人の会員を持つ。
これだけオンライン配信で成功したNetflixが郵送レンタル事業を続けていたことに驚いたのだ。しかし、考えてみれば、日本のTSUTAYAはまだ全国でレンタル事業を続けている。それは、一定のニーズがあるからだろう。特にロングテールの先のほうにある、あまりニーズのない作品については、オンライン配信されておらず、DVDのレンタルや購入に頼るしかないと言うケースも時々ある。そのようなことを考えると、レンタル事業も今後も一定のニーズがある。
だが、我が家の近くのTSUTAYAはすでに10年近く前に撤退し、今や「まいばすけっと」と言うスーパーになってしまっている。だから、DVDを買うしかないということも時々ある。