Windows 11端末に新しい「Copilot」AIキーが追加されるそうだ。 -キーボードに変更が加えられるのは約30年ぶりという。Windows 11のキーボードのAltキーの右隣に新しいCopilotキーが設定される。
これは、「Copilot for Windows」を素早く呼び出す専用の「Copilot」キーだ。Microsoftは主要株主であるOpenAIの技術をすべての製品・サービスに組み込んだ。AIにAll Inと言ってよいだろう。キーボードに「Copilot」キーを加えることで、さらにMicrosoftのAIサービスを利用させようとする。
つまり、AIアシスタント市場での主導権を握るべく、Microsoftは、広く普及しているWindowsというOSを活用した差別化を図る。GoogleやAmazonなどのライバル各社も自社製AIアシスタントの提供を強化している中、ユーザーの囲い込みが喫緊の課題となっている。この状況で、新キーボードの登場により、Copilotへのアクセスが1ストロークで簡単にで可能となり、MicrosoftのAI分野での地位を確立しようとしているものと見られる。昔のブラウザ戦争の際にWindowsにInternet Explorer を組み込んだ戦略と全く同じだ。
ユーザのメリットとしては、文書作成、データ分析、プログラミングといった幅広いシーンで、Copilotによる支援を受けられる点が大きいと思われる。例えばレポート執筆時に参考文献を提示してもらったり、会話形式で分析指示を出すこともできる。作業効率の大幅な向上とストレス軽減が実現できるかもしれない。一方でプライバシーやセキュリティ、過剰依存といった課題もある。
AIキーの設置で、AIの利用が一気に進み、生活の多くの場面でAIアシスタントが欠かせない存在へと成長していく流れが予想される。他方、AIへの過剰依存とその結果のしての判断力の低下といった弊害も考えられる。ワープロに依存して漢字をわすれることやスマホの電話帳で電話番号を忘れるといった類のことだ。
また、AIに依存することで、予期される問題もある。まず、プライバシーとセキュリティの問題だ。個人情報の取り扱いやネットワークセキュリティの観点から、新しいリスクが生じる可能性がある。さらに、Copilotが不適切な提案が作業を行って思考の流れを妨げる場合もあり得る。
Microsoftのこの戦略は、AI技術の一般消費者への普及を加速させることで、広い分野に大きな影響を及ぼすかもしれない。特に、CopilotがデフォルトではBingの検索エンジンを使うことで、Googleの検索市場の独占に穴を開けることも予想される。うまく行けばだが。
MicrosoftのキーボードにCopilotキーを導入する戦略は、AIの利用の促進を狙いの通り拡大するのかどうか。結果は数年後に分かるだろう。