ChatGPTの公開以来AIブームがやってきた。このために、多くの既存のサービスや製品にAIの機能が組み込まれている。代表的なものは、MicrosoftのCopilotだろう。OfficeのアプリケーションがAIでサポートされ様々な業務が簡単になる。それ以外にも多くのAI機能の追加の例がある。数多くあるので、いくつか例をあげる。
Slackは、チャットベースのコラボレーションツールとして多くの職場で使われている。AIの導入により機能が強化された。AIを利用して、ユーザーのコミュニケーションパターンを分析し、最も関連性の高いメッセージや情報を優先的に表示するようになった。また、SlackbotというAIアシスタント機能は、ユーザーの質問に自動的に回答したり、タスクを管理するのに役立つ。
Canvaはオンラインでグラフィックデザインを作成するためのツールだ。AI技術の導入により、ユーザーに合わせたデザインの提案、画像の自動修正、レイアウトの最適化などが可能になった。AIによって、ユーザーはより簡単にプロフェッショナルなデザインを作成できるようになっている。
Notionは、ノート取り、タスク管理、データベース構築などが可能なオールインワンワークスペースとして知られていた。AIの導入により、ユーザーの使い方を学習し、より効率的な情報整理や自動化されたタスク管理を提供するようになった。例えば、テキストの自動分類や関連する情報の推薦などがAIによって実現されている。
Photoshopは、デジタル画像編集の業界標準ツールだが、最近ではAIを利用して機能を拡張した。画像の内容を理解し、自動的に被写体を選択したり、画像の修正を行ったりすることができて、画像加工がAIで簡単になっただけでなく、画像内で必要な要素も生成できる。
数え上げれば、キリがないほどAI機能が追加されたサービスや製品が多い。それほど、ChatGPTの与えた影響は大きい。そして、ついにGoogle ChromeにもAIがやってきた。
Google ChromeのアップデートであるChrome M121には、AI機能が導入される。ブラウジングをより簡単かつ効率的にするための新しい生成AI機能の3つだ。準備が終了次第、設定内の「Experimental AI」のページより有効化できる。
1つ目は「Tab Organizer」だ。これはオープンしているタブを分析し、トピックごとにタブグループを自動的に作成してくれる機能となる。ブラウジングの効率を大幅に向上させるだろう。たとえば旅行の計画や商品購入のリサーチなど、Chromeで同時に複数の作業をしている場合に便利になる。この機能を使うには、タブを右クリックして「Organize Similar Tabs」を選択するか、タブの左のドロップダウン矢印をクリックする。Chromeは新しいグループに名前と絵文字を提案してくれるので、後から見つけやすくなる工夫もあるようだ。
2つ目はテーマのカスタマイズ機能だ。これはAndroidやPixelの壁紙生成AIをChromeにも搭載されているもので、テーマやムード、ビジュアルスタイル、色などを選択することでオリジナルのテーマを即座に生成できる。「Customize Chrome」の設定からこの機能にアクセスでき、Chromeのおすすめテーマも確認できる。マーケティングの観点からは、広告主が消費者の好みや興味に合わせたカスタマイズ可能な広告を提供する新たな道が開かれるかもしれない。
3つ目は「Help me write」というライティング支援機能だ。これが一番重要かもしれない。これはレビューや返信メールの作成など、Web上でのテキスト入力時にAIでサジェスチョンを出してくれるものだ。次回のアップデートで利用できるようになる見込みだから少し待たなければいけない。この機能が追加されれば、ユーザー生成コンテンツやweb上の文章の質が向上することが期待される。
こうしたAIや機械学習の機能は今後もChromeに追加され、ユーザーエクスペリエンスの改善が図られていくそうだ。さらには、新しいAIモデル「Gemini」との連携も計画されているというので、それが実現すると、Chromeの機能はさらに充実して、もはや閲覧ソフトとは呼べなくなるのだろう。