Aptosに移行

by Shogo

Microsoftは、Wordのデフォルトタイプフェイスを17年ぶりに変更し、CalibriからAptosに移行したという記事を読んだ。この変更は、PowerPoint、Outlook、Excelにも適用されているそうだ。早速、Wordを開いてみたが日本語版では特に変化はなかった。それは、Aptosには日本語の書体もないし、そもそも違うルールで動いているのだろう。この変化にSNSでは賛否両論あるようだ。基本的に人は、変化を嫌うので急な変更に意見を言う人が多いからだろう。

この記事の中で、英語のフォントとタイプフェイスの違いを初めて知った。タイプフェイスは文字デザインを指し、フォントは特定のサイズやスタイルを指すそうだ。この2つは、しばしば同義語として使われているという。日本語では、書体と書いたが、どちらもフォントと呼んで、日本語でタイプフェイスは聞いたことがない。

タイプフェイスとは、文字の全体的なデザインを意味しているようだ。つまり書体の設計図だ。例えば、Times New Roman、Helvetica、Arial、Calibriなどだ。日本語では明朝やゴシックなどがある。これに対して、フォントとは、タイプフェイスの中の特定のバリエーションを指すという。これには、太字、斜体、異なるポイントサイズなどのスタイルが含まれる。だから、普段はフォントと呼んでいるが、厳密な意味では違うということだ。言葉は、そんなもので厳密にはなんの意味もない。だから、これを知っても使うこともない。日本語では書体は一般的にフォントと呼んでいるからだ。無駄な知識ということになる。

Microsoftによれば、この変更の目的は、「現代のコンピューティング時代に合わせた新鮮でネイティブなデザインを取り入れること」だそうだ。Aptosは、Calibriと同じサンセリフだが、通常のサンセリフよりも個性的なデザインがされているそうだ。Microsoftのデザイナーによれば、Aptosに人間味を加えるため、特定の文字に特徴を付けたということだ。

サンセリフは、19世紀に新聞の見出しなどに使われ始め、20世紀に入り、モダニズムの影響で広く普及した。その後、デザイナーたちによって芸術性が加わり、HelveticaやArialなどが広く使われるようになった。サンセリフの語源は、フランス語で「~のない」という意味の「sans」と、小さな装飾を意味する「serif」を組み合わせた造語ということだ。特徴として、文字の末端にセリフ(小さな飾り)がなく、シンプルでモダンな印象を与える。また、画面上で読みやすく、特に小文字が認識しやすい特徴がある。このため、Webサイトやデジタルデバイスで主流だ。

これに対してセリフ(小さな飾り)は、伝統と格式の書体で、ラテン語で「書くための道具」という意味の「serere」に由来するそうだ。特徴は、文字の末端にセリフ(小さな飾り)がある。読みやすく、優雅で洗練された印象を与える。印刷物やフォーマルな文書に向いている。活版印刷の発明とともに生まれ、長い間、書籍や新聞など、印刷物の主流書体だった。個人的はうるさい装飾がされているようで好きではない。

MicrosoftがAptosを採用した理由は、大きく2つあると説明している。現代的なデザインと読みやすさが、まず最初の理由だ。 Aptosは、現代的なデザインを意識したサンセリフで、画面上で読みやすく、洗練された印象を与える。ただ、これは同じサンセリフのCalibriも同じだ。そして、2番めは、Aptosは、従来のサンセリフ書体にはない、ちょっとした個性と遊び心を持っているそうだ。例えば、小文字の「i」にはわずかなカーブが付けられており、親しみやすさを演出しているという。

実際に英語文字でAptosとCalibriを比べてみると、Aptosの方が文字の幅にバリエーションがあり、見やすい気がする。と言っても英語文字だけを使うこともあまりないのでAptosを使わないだろう。普段は、Windowsのメイリオが多い。Macにもインストールしている。それは、サンセリフでスッキリした印象だからだ。

それにしても、このような書体の変化が、どうしてSNSで大きな話題になるのだろうか。それは基本的に人は変化を嫌うからだろう。特に自分もその傾向が強いと思っている。それは様々な理由があるのだろうが、基本的には周辺の慣れ親しんだ環境への安心感からくるのだろう。

新しいモノやコトには、常に不安や恐怖が伴う。多分、アフリカのサバンナで暮らしていた時代から遺伝子に組み込まれた、安全な見慣れた環境への執着から来るのであろう。歳をとると、特にそのような傾向が強まってきた気がする。新しいことを学んだり、慣れない環境に適応しようとする努力は、肉体的・心理的なリスクを伴うので、どうも気が進まない。しかし、それではいけないと思い直して、Microsoftにならって、メイリオだけではなく、見やすくて新しい「フォント」を探してみようか。

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