野球普及の謎

by Shogo

残念なことに、メジャーリーグベースボールはプレーではなく、通訳の不祥事で大きなニュースになってしまっている。それが原因かどうかわからないが、ニューヨークタイムスによる今年の優勝候補No.1のドジャースの全席売り切れが開幕早々止まってしまったようだ。大谷翔平の人気で、今年は全試合売り切れると見込まれていたが、それはなくなった。原因が不祥事にあるのかどうかわからない。

3月28日にアメリカ国内でのシーズンが始まった。それに先駆けて韓国での公式戦も行われているが、あくまでもアメリカ人にとっては自分の地域のホームゲームが開幕戦であろう。だから、一部のファンは、海外での開幕戦について批判的でさえある。しかしながら、そのような批判を受けても海外普及を目指すMLBの努力のにもかかわらず、野球の海外普及はなかなか進まない。

唯一の例外は日本であろう。Statistaが2023年に行った調査では、野球のファンだと答えた人は、アメリカ国内では50%、日本では66%とアメリカよりも高い。3位にはメキシコが33% 、4位にインドの16% 、5位に中国の11%、 6位にイギリスの9% 7位にドイツの8% 、8位にフランスの5%となっている。このデータには出ていないが、韓国や台湾でもそれなりに人気のあるはずだが、調査対象には入っていないようだ。

このデータを見ても、日本、アメリカメキシコ以外では野球はあまり普及していないことがよくわかる。世界的に普及しているスポーツと言えば、まずサッカーであろう。特にヨーロッパ、アフリカ、南アメリカではこれ以外にスポーツがないと言っても良いかもしれない。

このようにサッカーが普及した理由は様々あのだろうが、サッカーはまずボール1つあれば始められる手軽さがある。しかしながら、野球については用具の問題や、ある程度の広さの場所が必要であり、これが普及の妨げになっている可能性はある。

もう一つの野球の普及を妨げる原因は何よりも試合の時間の長さだ。もちろん英連邦の国で人気のあるクリケットに比べれば、短いが、それでも長い時間を必要とするスポーツだ。

それでは、野球発祥の国以外で人気のある日本では、なぜ野球の人気が出たのだろうか。野球を始めとしてサッカーやラグビーも、江戸時代の終わりから明治の初めにかけて日本に住み始めた外国人がプレーをして、それを見た日本人も真似をした。しかしながら、結果的には野球のみが広く普及することになった。

この野球のみが普及したことについては、日本の学校教育の一環となったことを理由とする説がある。サッカーやラグビーは、学校の授業では採用されなかった。しかし、野球は授業として行われたから、多くの人が野球に触れたからだと言う説だ。

なぜ野球のみが学校教育で重視されたかについては理由はよくわからない。

日本に開国を迫ったのは、アメリカで、アメリカの影響が強かったことも事実だと思われるが、日英同盟の時代もあり、イギリスとの良好な関係もあった。しかしながら、サッカーやラグビーは主に外国人がプレーし、わずかの日本人のみが続くだけだった。これについては、当時の学校教育の指導者の中に野球好きがいたのではないかと言う以外に理由が見つからない。

野球とサッカー・ラグビーを分けるものといえば、実はあまりない。チームスポーツはチームプレーが重視される事は同じだし、スポーツとしての戦略性も変わりは無い。あるとすれば、野球においては、個々の選手の機能が明確に規定されていることだけなのだ。1つのポジションで明確な機能を定義して、それに向けて継続的な努力を行うことが日本人のメンタリティーに合っていたのだろうか。

そのように考えてくると、大谷翔平のように2つのポジションを完璧にこなす選手と言うのは、明治時代からの野球の普及の歴史においても、あまり例を見ないと言うことになるのかもしれない。

ともかく、不祥事のことは忘れて、頑張ってもらいたいものだ。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください