オリンピックの公式AIプラットフォームパートナーのIntelは、オリンピックに参加するアスリートや世界中の視聴者に「次世代エンゲージメント」を約束するAI主導のソリューションを発表した。パリオリンピックは、テクノロジー・AIがスポーツと融合する体験を示してくれそうだ。
Intelは東京などでもドローンを使った演出などで存在感を示していたが、今回はさらに中心的な役割を果たすようだ。「次世代エンゲージメント」の言葉通り、今までにないデジタルオリンピックになりそうだ。まず、100%デジタルチケッティングが初めて行われる。全てのチケットがデジタル化されることで、これがどのように観客の利便性を向上させるのだろうか。これは運営側にとってもメリットが大きい。
そして、IntelじはAIを使ってアスリートのフォームや動きを分析し、パフォーマンス向上のためのアドバイスを提供するという。競技のサポートまでその役割を拡大するのだから、オリンピックの中心に入っているということだ。これにより、選手個々の能力を最大限に引き出し、怪我のリスクを軽減するのに役立つとIntelは説明している。
また、観客向けには、バーチャルリアリティ(VR)と拡張現実(AR)を使った映像を提供するという。VR技術により、観客を競技会場の中に立たせて、360度の視点から競技を体験することができるようになる。これは、メタのクエスト3やアップルのビジョンプロなど、新しいデバイスの出番だろう。これらの新しい技術がどのようにスポーツの体験をさらに豊かにするのだろうか。この詳細が発表さされれば、これらのデバイスが売れ始めるだろう。
ネットやテレビの視聴者向けには、AIを使って、個々の観客の興味や好みを分析し、パーソナライズされたコンテンツを提供するようになる。AIがタイムスケジュールを管理して、オリンピックのマイページを作ってくれるイメージだろうか。
それから、オリンピックのコンテンツでは、AIが複数の言語をリアルタイムで翻訳する。これにより、世界中の観客が言語の壁を越えてオリンピックを楽しむことができるようになる。多くの競技が会場からテレビ放送を介せず直接配信されるだろうからこれは必要な機能だ。
Intelはさらに競技運営まで踏み込んでいる。AIと5G技術をつかって、競技の監視と判定まで行うという。AIが、競技を監視し、不正行為を検出することができ、人間の審判を支援し、より迅速かつ正確な判定を下すことができるようになるという。
AIがオリンピックのセンターステージに立つ大会になるようだが、一方ではセキュリティも問題となる。世界中でサイバー攻撃のリスクが高まっている。オリンピックは、その格好の標的だ。オリンピックがテクノロジーを使うように、犯罪者やテロリストもテクノロジーを活用する。オリンピック組織委員会は、Intelなどの協力でサイバー攻撃からシステムを保護するための適切な対策を講じることができるのだろうか。
また、フランス国内には300万のドローンがあるそうだが、このリスクも見逃せない。ウクライナや中東の状況を考えるとテロのリスクは限りなく大きい。マクロン大統領も、場合によってはセーヌ川での開会式というプランを諦めると発言している。セーヌ川での開会式は最大の目玉だが、当初からリスクが高いと思っていた。そのようなことにならないか願うのみだ。
何事もなく、AIと5G技術を使った新しい試みが、スポーツイベントをどのように変えるか見てみたい。