ニューヨーク・タイムズの購読部数が電子版を含めて750万部になった。2020年のパンデミックの中で、230万部を増やした。
読売新聞は、1,000万部を超えていた
かつて、読売新聞は世界最大の発行部数を誇る新聞と言われてきた。2001年のABCの部数で1031万91部と発表されている。その時点でも、その後も、間違いなく世界一であった。その後、徐々に部数を減らし2020年の数字で、733万部まで減少している。つまり、もはや読売新聞は世界一の発行部数を持つ新聞ではなく、ニューヨーク・タイムズがそうだと言うことだ。
日本は新聞大国だった
かつての私の理解では、アメリカにはUSA Todayとウォール・ストリート・ジャーナルを除いて全国紙は無い。ニューヨーク・タイムズやシカゴトリビューンと言うようなローカル新聞がたくさんある。 だから、日本の読売新聞のような大発行部数の新聞は存在し得ない。一方、日本は、独自の宅配制度に支えられて、新聞は全国展開をし全国紙が5紙もある。その中で読売新聞は最大で1000万部を超え朝日新聞も800万部を超えている。日本は、新聞大国だ。その私の理解は、もう違ってきている。
ニューヨークタイムスの750万部の発行部数のうち、紙の新聞はわずか90万部しかない。残りの660万部は電子版の契約だ。これが意味するところを考えると、いくつかのポイントがある。まずアメリカでは、電子版の新聞を買う人が日本に比べて多いと言うこと。日本で最も電子版が成功している日本経済新聞で、有料会員数は76万人にしかすぎない。
2番目は、ニューヨーク・タイムスのブランド力。アメリカでニューヨーク・タイムスを読もうと思えば、昔も大都市では限られた場所でニューヨーク・タイムズを買うことができた。しかしアメリカ全体ではニューヨーク・タイムズを手に入れる事は難しかったが、電子版になれば、誰でもどこでも買えるようになった。特に、新聞社の倒産が多く、ローカル紙がない街も出てきている。このためニューヨーク・タイムズを読みたいと言うアメリカ全体に散らばる人たちが電子版の契約をしていると言うこと。
3番目は、コンテンツに魅力があると言うこと。日本の新聞は、代り映えしない内容の記事を、習慣で買っているところがあるが、ニューヨーク・タイムスにおいてはそのコンテンツの魅力で売れていると言える。ニューヨーク・タイムスの「クッキング&ゲームズアップ」は別契約だが、これも電子版と合わせて160万部も売れている。習慣ではなくコンテンツの魅力で、買っている。新聞を読むと言うことが、習慣という日本の新聞の販売とは違う。
アメリカでも、多くの新聞が苦境にあるという。過去10年ほどで、アメリカの地方都市のローカル新聞の25%が廃業したという。その中で、ニューヨーク・タイムズだけが部数を伸ばしている。
ニューヨーク・タイムズは今後も部数を伸ばすかどうかわからないが、日本の新聞は確実にさらに部数を減らしていく。どこまで減らして体力が続くのかわからないが、今後もさらに減っていくと予想される。新聞と言うメディアは、毎朝、家庭に届くと言うことではない新しい魅力や内容がない限りもう未来はないところに来ている。