Googleが、AIチャットボット「Gemini」のiPhoneアプリをApp Storeでリリースした。これでAndroid版に続き、iOSユーザーもGeminiを利用できるようになった。この動きは、モバイルAI市場でAppleやMicrosoftと覇権を争うGoogleの戦略を加速させるものであり、AppleのAI戦略にも大きな影響を与える可能性を秘めている。
Geminiアプリは、13言語に対応する高度な音声アシスタント「Gemini Live」、高度な画像作成ツール、そしてYouTubeやGmailなどの他のGoogleサービスと統合できる拡張機能を提供する。
今回の「Gemini」のiPhoneアプリ化で、Apple Intelligenceとの対比が注目される。Apple Intelligenceは現時点では、全ての機能がリリースされていないし、英語の機能だけしか使えない。しかも、不具合も報道されている。Appleも、OpenAIとの提携の日が浅いこともあるのか、慎重かつ段階的なAI導入を進めているが、うまく行っていないのだろうか。一方で、今回のiPhoneアプリ化でもわかるように、Googleは積極的にGeminiの機能を拡張している。
Appleがプライバシーやデータの秘匿を前提に、Apple Intelligenceが限定的な機能として使えるデバイスも選んでいるのに対し、Googleは幅広いデバイスとユーザー層をターゲットにしている。この戦略の違いは、両社のAI開発に対するアプローチの根本的な違いを示している。
今回の報道から知ったことだが、Apple内部の調査によれば、現行のSiriはChatGPTと比較して精度で25%劣り、回答可能な質問数で30%少ないそうだ。一方、Geminiは既にChatGPT-4を上回る機能を提供し始めていると評価されているそうだ。これから推論すれば、Geminiは、ChatGPT-4oをエンジンとするApple Intelligenceは、いい勝負ということだろうか。
Google、AppleやMicrosoftは、モバイルも含めてネット空間での覇権を巡って激しい競争を繰り広げている。各社とも、Apple Intelligenceやその他のAI技術の登場を見据えて、戦略的な機能拡張を進めている。これは、オフィスやモバイルだけでなく、スマートホーム市場への影響も大きい。
AIアシスタントの進化は、単なるコミュニケーションツールを超えて、スマートホーム市場などの多くの分野を変えてゆくだろう。そこに、どの企業が旗を立てるのだろうか。
ユーザーにとっては、勝者が誰であれ、これらの競争で、より高度で使いやすいAIサービスが登場して、日常生活をさらに便利で効率的なものに変えてくれるのが望ましい。