AmazonのMGM買収が決定

by Shogo

MGM が、84億5000万ドルでAmazonに売却される。この価格は、AppleやComcastが交渉していた価格の40 %増だそうだ。

これでAmazonが、新作はもちろん過去にMGMが制作した映画の配信権を得るのかと思ってたら、違った。MGMは、すでに1986年以前に制作した作品の権利を売却済みだった。今はMGMの過去の作品、「雨に唄えば」、「オズの魔法使い」、「風と共に去りぬ」などは、Warner Bros.が所有している。

Amazonが大金を払って、MGMの買収をする理由は、定額映像配信サービスの競争が激しいからだ。Netflixが先行して、Amazon Prime Videoが追いかけているところに、Disney+、HBO Max、Apple TV+、Paramount+が参入して.この市場は加熱している。

MGMが所有している、映画の権利としては、007ジェームス・ボンドが最大と思われるが、MGMはその権利の半分しか所有していない。残りの半分は、プロデューサーであるイギリスのブロッコリー家の兄弟が所有している。バーバラ・ブロッコリーと、マイケル・g・ウィルソンの兄弟は、ジェームスボンド映画のすべての権利を所有し、映画製作についてのすべての決定権を持っている。これは20年前に、彼らの父親がこの映画の権利を彼らに残す以前から、ジェームス・ボンドの映画はブロッコリー家のものだった。

今回のAmazonの買収について、兄弟は、全世界での劇場公開のための映画を今後も作っていくとコメントを発表している。

HBO Maxは、コロナ禍の特別処置であるとは言え、劇場公開と同時に今年のWarner Bros.の新作映画を全て配信する。これは定額配信サービスの顧客獲得競争の大きな武器になる。しかしAmazonがMGMを買収しても、そのような武器として使えるかどうかはわからない。

Amazonは710億ドルのキャッシュを持つ会社であり、その時価総額は1兆6400億ドルと言う途轍もないものだ。日本で1番大きいトヨタ自動車の時価総額は、ドルベースで2000億ドル程度だからAmazonの8分の1と言うことになる。

Amazon Prime Videoは、Amazon Prime会員のサービスとして無料でついてくる。アメリカでは日本より会費は高く、年119ドルあるいは月13ドルとなっている。日本では、会費は年間4,900円、または月額500円。これに音楽や無料配送がついてくるので単純にNetflixの会費とは比べられないがNetflixよりも安い。

しかし、これは、Amazonの戦略で、顧客をAmazonの経済圏に組み込んで離さないための仕組みでもある。アメリカでは、AmazonPrime会員は、年間で平均3000ドル使うと言うことだ。これは、AmazonPrime会員になってない家庭の倍の購入金額だと言う。その会員が、2億人に達している。日本では会員数は非公表で分からないが、数百万人と言われる。

だから、Amazon Prime Videoのライブラリーを充実させて、会員を増やすことは単に配信サービスだけの問題ではない。その点で、Netflixに比べてECサービスまで提供できるAmazonの強みだ。

Amazonが、Netflixなどに対抗して、Amazon Prime Videoのラインナップを強化しようと思えば、映画に関して言うとMGM以外に選択肢はなかった。

他の映画会社は、すべてコンテンツ・メディア企業のグループに組み込まれており、それぞれがDisney+やHBO Max、Paramount+のような配信サービスを持っている。配信サービスを行っていないSonyグループの映画会社、SonyPicturesは、過去の映画やテレビの作品の権利をNetflixとDisney+とライセンス契約を結んでいる。その契約金額は30億ドルだ。

そのように考えると、他に選択肢がなかったので、40%ものプレミアムを支払って今回の買収に至ったのだろう。

結局、過去の作品を売却したとは言え、MGMは今でも4,000もの映画作品のライブラリーを所有している。「ロッキー」、「ロボコップ」、「ピンクパンサー」、「羊たちの沈黙」とジェームスボンドの映画以外にたくさんの有名な映画が含まれている。また、過去のテレビ番組のライブラリーも持ち、ドナルド・トランプが有名になった「The Apprentice」の権利も所有している。

もちろん、MGMは、新作も制作しており、個人的に最も興味がある、リドリー・スコット監督の「House of Gucci」は楽しみだ。このような作品も劇場と同時か後かは別にしてAmazon Primeで見られるようになると言うことだ。

Amazon自身も、Amazon Studioを持ち、積極的に自ら制作を行っている。「ロード・オブ・リング」のテレビシリーズは、史上最高の1シーズンの制作費と言う4億6500万ドルをかけて製作中。またエディ・マーフィーの「Coming to America」の続編に1億2500万ドルを払って権利を取ったり、クリス・プラットの「The Tomorrow War」には2億ドルを支払っている。

Amazonは、ECがメインとは言え、MGMの買収や自社製作の作品でラインナップを充実させれば、Amazon Prime会員の一部という強みも生かして、定額配信サービスの競争でも勝ち残っていくと予想する。では、どこが脱落するかというと、Netflixは世界中でコンテンツを製作し、1位の強みがあり別格。Disney+は独自のコンテンツがある。そこに割って入るには、Apple TV+、HBO MaxとParamount+は難しいと考えている。

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