少し前の話題だが、クリスティアーノ・ロナウドが、記者会見場で、コカコーラの2本のボトルを下げて、水のボトルを掲げて水を飲めと言った後、コカコーラの時価総額は40億ドル下げた。コカコーラの時価総額は、約2348億ドルなので、1.6%もの下げだ。
この場合、コカコーラはクリスティアーノ・ロナウドと直接契約をしていたわけではない。コカコーラは、彼が出場したEURO2020、サッカー欧州選手権のスポンサーだっただけだ。しかし、ここに、著名人やスポーツ選手を使うリスクが如実に現れた。
著名人やスポーツ選手は人間であって、感情もあり様々な行動するのでコントロールが難しい。
アメリカ広告主協会の調査では広告主の75%が、スポーツ選手、歌手俳優などのエンターテイナー、ソーシャルメディア上のインフルエンサーと契約をしていると言う。また、その投資額は、それらの著名人の名声やイメージを借りて広告を行っている。そういう人のイメージを写し取ろうと努力しているのだが、契約が終わればそれは消えてしまう。
ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダース、マクドナルドのドナルド・マクドナルド、アメリカンファミリーのアヒルなど自社が一から作り上げるキャラクターは、お金と時間もかかるが、長期的に見てみると効率が良いとも言える。しかし、最大の違いは、コントロールだ。この場合には今回のロナウドのような問題の発生は無い。
キャンペーンに、著名人を出して一時的な注目を集めることは、以前より行われてきたが、今や多くの企業は契約には慎重になっている。特に日本においては不祥事で叩かれることが多く、その場合には企業イメージの失墜につながるからだ。しかし、本当にそうだろうか。多くの人は、広告主が、広告のためにそのタレントと契約しているだけということを知っているので、企業のイメージ影響を及ぼすことはないと思う。
今回のロナウドのケースでは、株を上げたのは、ロナウドだ。以前から、彼は健康や体に気をつかい、自らのパーフォマンスをあげることに注力していることは、よく知られている。だから、水を飲めという彼の発言は、その文脈で評価されるのだろう。