プレミアリーグはイギリスのプロサッカー1部リーグである。日本の1部リーグであるJ1より2チーム多い 20チームで構成されている。ヨーロッパの5大リーグの1つであるが、やはり人気の点で頭1つ抜けていると考えられる。このため、プレミアリーグの放送権は、世界各国において争奪戦になっている。
日本においては、以前はJ Sports、NHK、フジテレビNEXTが放送権を獲得して放送してきた。インターネット配信が始まると、ソフトバンクが権利を獲得したこともあった。だが、2019年-20年のシーズンからはDAZNの独占配信となり、今はテレビの放送は無い。
DAZNの世界展開にとってもプレミアリーグは重要なコンテンツと思われる。その人気の高さの故に他の放送事業者が大金で契約を進めるので、権利の獲得は順調に進んでないようだ。
昨年11月に発表されたアメリカでの権利は、コムキャスト傘下のNBCが27億ドルで6年契約した。サッカーの人気のがないと思われるアメリカでの、この金額の放送権料だ。
さらに、先週発表されたのは、カナダの権利がFuboTV 、そしてバイアコムCBSが中米各国の権利をとった。FuboTVはDAZNと同じような配信サービスで、バイアコムCBSは、その傘下の配信サービスのParamount+でのプレミアリーグの配信となる。
また、南米においては、DAZNとDisneyが共同でプレミアリーグの放送権を過去3年間持っていたが、2022年からの3年間は、Disneyが単独でその放送権を持つと発表されている。ここでもDAZNはプレミアリーグの放送権を失ったわけだ。
参入が相次いで競争となっている配信サービスにおいては、契約者獲得の目玉になるコンテンツを求めて放送権料の釣り上げになっているケースが多く、プレミアリーグはその代表格として各国で高い放送権料で契約が締結されている。
本家のヨーロッパにおいても、2021年の5月にプレミアリーグは、既存の契約を延長した。その契約先はSky、Amazon、BBC、 BTの4社で、期間は2022年から2025年。その放送権料は総額で75億ドル。ここでもDAZNはプレミアリーグの放送権を獲得できていない。
そのDAZNは、しばらく前からイギリス国内でのプレミアリーグの放送権を持つBTスポーツの買収交渉中だ。8億ドルと噂されているこの契約がまとまれば、DAZNはイギリス国内でのプレミアリーグの放送権も同時に獲得する。交渉は難航しているようだ。噂になってから時間が経つが、まだまとまっていない。そんな中で、Warner Mediaを買収したDiscoveryがBTに対して合弁会社によるBT Sports放送事業を提案しており、この交渉も継続している。Discoveryの提案が通れば、DAZNはBT Sportsの持つイギリス国内の放送権も失う。
DAZNは、世界各国で目玉となるようなコンテンツを大金を叩いて獲得してきている。2019年だけでも、その金額は17億ドルにも上るという。日本においてはJリーグの放送権を2017年に獲得した。当時は10年契約で、2100億円+レベニューシェアと言う内容だった。これがさらにその後延長されて今は2028年までの12年契約で金額が2239億円+新レベニューシェアになっている。毎年200億円近い放送権料をDAZNは支払っている。だが、これが同程度収益に結びついているのかあまりよくわかっていない。
日本国内のDAZNの契約者数も発表されていない。以前日経の記事では、契約者数は170万人と言う推測がされていた。またその記事では、継続的に利益を出すためには300万人必要とも書かれていた。そういう意味でDAZNは、現時点は事業立ち上げの投資の時期でまだ回収には入っていないと言うことなのだろう。
その中で映像配信サービスが次々と立ち上がって競争がますます激しくなっていく。当然プレミアリーグのような重要コンテンツの値段は高騰する。契約者を獲得しつつ利益を上げると言う事は難しい状況だ。