2021年の年末に、Instagramが発表したアルゴリズムの変更により、Instagramをマーケティングに活用してきた企業の業績に大きな影響が出ているという。
Instagramの責任者は、2021年末にTwitterに投稿した動画の中で、Instagramは今後は動画に注力する。Instagramもはや写真共有アプリではない。そしてReelsを育てていくと発言している。
ReelsはInstagramのユーザのタイムラインとExploreコンテンツ発見ページに表示され、その動画の長さは1分間。アプリを使って撮影編集ができる。
このアルゴリズムの変更で、Reelsの動画は優先的に表示される。また定期的にReelsの動画を投稿しないアカウントは、ユーザのタイムラインにおいて優先的には表示されなくなる。つまり、投稿認知させるためには、Reelsの投稿が必須となったのである。
このアルゴリズムの変更は、TikTokの急速な成長に見られる動画へのユーザの嗜好に合わせたものとみられる。TikTokのような動画の投稿に対抗しないと、Instagramが取り残されると言う焦りから生まれたものと想像できる。また、Snapchat登場時の、24時間で消えるStoriesの導入のように、流行りの機能は必ず取り入れてきたMetaの伝統でもある。
巨額の広告費を持たない中小企業は、ソーシャルメディアをマーケティングに活用してきた。特にInstagramは、若い世代に浸透しているので、重要なプラットホームになっている。美しい写真と気の利いた文章のキャプション、ハッシュタグをつけて、定期的に情報発信することにより、販売サイトに誘導したり、Instagramのショッピング機能を使って販売することもできる。
それが、2022年に入ると、動画シフトのアルゴリズム変更のために、今まで通り写真を使ってマーケティング活動を行ってきた中小企業に大きな打撃を与えることとなった。写真を投稿しても、それがフォロワーのタイムラインに現れなくなり、結果としてリーチが減少しているのだ。
これに対抗するためには、動画の投稿を増やさなければいけないが、そのためには動画の撮影や編集、音楽・効果音の選択など今までの写真の撮影と文章力とは違うスキルが必要になる。中小企業では、外部に委託できないので対応が遅れ、結果としてリーチが下がり販売も下がっていくと言う状況になっている。
企業によっては、TikTokにアカウントを開設してそちらで動画を投稿しているケースもある。しかしながら、TikTokにはまだショッピング機能や、販売サイトへのリンクの機能が欠けているために、マーケティング上ではあまり大きな効果は上がっていないと言う
今回の状況を見ても1つのプラットフォームに頼りすぎるのは危険だと言うことだ。2018年にFacebookはアルゴリズムを変更して、企業ブランドアカウントの優先順位を下げて、メディア企業アカウントの表示回数も減らした。このようなことが度々起こるのである。Googleも何度かアルゴリズムを変更して、そのたびに様々なSEO対策を行ってきた企業の努力を無駄にしてきている。
そういう意味で、ある特定のプラットフォームに過剰適応するのではなく、バランスのとれた情報発信が必要と思われる。