インフルエンサーマーケティング評価の基準

by Shogo

私たちの接触する主要なメディアがソーシャルメディアになってから久しい。このために、そこでの広告活動も広告主にとっての重要な課題となっている。ソーシャルメディアのマーケティングで多用される方法はインフルエンサーマーケティングと呼ばれる、インフルエンサーを起用するものだ。

ただし、このインフルエンサーも多様だ。一般的な著名人やタレントや、その分野で多少知られた人から、全く知られていない関係者に至るまで、その影響力の大きさも種類も大きく違っている。だが、ソーシャルメディアは人が中心のメディアだ。誰かが登場して商品なりを紹介すると言う手法はメディアに馴染んだ方法とも言える。それに、昔から使われている広告に著名人を起用する広告の手法は、人目を引くという意味で一定の効果もあり、それと合体したものとも言える。

このインフルエンスザマーケティングは、ソーシャルメディアの拡大とともに大きな産業になってきている。アメリカのStatistaによれば、インフルエンサーマーケティングの規模は、世界で138億ドル、そのうちアメリカで37億ドルの産業だと言う。しかし、インフルエンサーマーケティングの定義が不明確なのと同じように、その規模の推定においても様々な説がある。PQ Mediaは2018年にアメリカ国内で800億ドルと推定しているし、Insider IntelligenceとeMarketerは、今年の規模を41億ドルと推定している。これだけばらつきがあるのも珍しい推定だ。

規模の推定がバラバラなのと同じように、ソーシャルメディア毎に、その効果の測定が統一されていない。これを問題にしているのが、アメリカ広告主協会で、基準を定めようとしている。その第一歩として、その効果を評価するためのガイドラインを発表した。

このガイドラインでは、8つの主要なソーシャルメディアを取り上げている。それらはFacebook、Instagram、LinkedIn、Pinterest、Snapchat、TikTok、Twitter 、YouTubeである。これらのソーシャルメディアは、効果の測定を様々な方法で提示している。例えばあるソーシャルメディアではフィード上で自動再生される動画をエンゲージメントとみなし、別のソーシャルメディアでは、「いいね」やコメント、シェア等のアクションのみをカウントしている。

このような評価がバラバラなソーシャルメディアでのエンゲージメントをアメリカ広告主協会が基準を定めてようとしている。具体的にはインフルエンサーを使ったことによる認知度の向上、エンゲージメント、コンバージョンの測定、リーチ、リーチあたりのコスト、エンゲージメントあたりのコストなどを統一しようとする試みだ

デジタル広告は、マスメディアの広告と違って、クッキーなどを使ってその効果の測定において圧倒的な利点があった。それはもはやクッキーの規制により失われようとしているが、広告費用に対してリターンがどれだけあったかを、ある程度は正確に知ることができてきた。デジタル広告による、売り上げにつながったかどうかが測定できたからだ。

同様のことをもちろんインフルエンサーマーケティングでも、ある程度は特定できるのだが、アメリカ広告主協会も基準を設けようとしているエンゲージメントについては、データ化できるものではない。確かに「いいね」のボタンをした人がエンゲージメントしたと言えるかもしれない。しかし多くの場合、エンゲージメントいうのは心理的なもので、必ずしも行動を伴うものではない。これを完全に測定する事は難しいのだろうと思う。

しかしながら、インフルエンサーマーケティングは主要な手法となっている現在、それに対して金を払う広告主は、効果を測定するための基準を求めている。それは当然のことであろう。それぞれのソーシャルメディアがバラバラな基準としているものに対して、広告主協会として統一的な見解を出すこと自体は非常に理にかなったものだ。ただし、ガイドラインを見た限りでは、それぞれのソーシャルメディアが基準としているものをどのように読むかをまとめただけなので、内容があまり無いような気もしないでもない。

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