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9月の最初の週末は予定がなかったので、どこかへ行こうかと考えたが土曜日にぐずぐずしてチャンスを逃した。それで、美術館と考えたが、東京都写真美術館は9月3日再オープンで、最初の展示は杉本博司だと知っていたが、きっと混んでいると読んで、国立近代美術館の「トーマス・ルフ展」へ。
トーマス・ルフは写真を取らない写真家だと思っていたが初期に撮ってるいたようだ。初期の肖像写真や建物の写真はいかにもベッヒャーの弟子という写真だ。まさにタイポロジーの見本のような作品だ。建物は曇りの日の早朝に撮っていたそうだが、これもベッヒャーの撮り方と同じだ。ちょっと違っているのは全てが正面から撮ったものでないということ。建物を斜めに撮っているものがあり、これがベッヒャーとは違っている。
有名なJPEGを大型の作品で見られたのでこれが収穫。あの作品はやはり大きな引き延しで見ないと意味がないことがよく分かった。
面白かったのはネガを作品にしているもの。ネガになると写真だということはより明確だが、写っているものはあまり明確でなくなる。これが、写真を象徴させるために考えた作品かどうか意味は分からない。
今回の新作を含むシリーズは報道写真のプリントを表と裏をスキャンして重ねた写真。今回、読売とかから昔の記録写真を借りて作ったそうだ。この作品は今はデジタルになってプリントもないし、デジタルだから撮った人が記録にメモを裏に書いておくということもない。