用があって有楽町のビッグカメラに行ったのだが、しばらく行っていないうちに一階にあったテレビの売り場が二階に移り、一階のテレビの場所は携帯も含めたモバイル端末とその周辺機器に変わっていた。昨年の地上波デジタル放送への完全移行と、それに伴うエコポイントによるテレビの大量販売の反動でテレビが売れないのだろう。
同時に3Dなどの付加機能を付けて、より高機能なテレビを売ろうとしていただ、それはあまり成功していないようだ。裸眼で見られるものも出始めたようだが、家でテレビを見ながら眼鏡をかけるという発想そのものを多くの人が持たないから当然だろう。それに、3Dはハードの問題というよりソフトの問題で3Dで面白いソフトがあればハードも売れるかもしれないが、この不況下に放送局が新たなコストをかけて3Dの番組を作るとは思えない。このあたりは、DVDができた時にマルチアングルとか様々のことができると喧伝されたが、当然のように製作費がかさむので、実際にはビデオテープにチャプターがついたこと、多言語にできるくらいの機能しか使われていない。
テレビの販売の不振は当面続くだろうから、量販店でも一階の目立つ場所から売り場が移ったが、電機会社でもテレビの部門の販売の落ち込みは今後問題になってくるだろう。すでに大手は生産を海外に移転したりしてコストは削減されているが、さらに経営統合や撤退ということも出てくるのかもしれない。1990年代にはアメリカには、すでにテレビを製造販売する会社は無くなっており、日本企業がテレビで世界を席巻していたが、同じことが中国や韓国の企業によって起こるのだろうか。
それへの答えが3Dによる高機能化だったわけだが、それはうまくいっていない。低価格のテレビは今後もますます輸入されることは間違いない。友人があるきっかけでテレビのOEM生産をして日本に輸入するビジネスを始めているが、話に聞くとデジタル化によって部品がモジュール化され、PCと同じように誰が作っても同じというようになってきたらしい。かつては各大手電機の色や映像の微妙な味付けもあったそうだが、今はその余地も減っているらしい。しかも彼の地では世界を相手に作っているので生産台数もケタ違いで、当然価格競争力は圧倒的だそうだ。
それを前門の虎とすれば、後門の狼はGoogleとかApple。もしかするとMicrosoftあたりも参戦するかもしれない。今のところ成功していないGoogle TVだが、インターネットのコンテンツ、特に動画についてはPCよりテレビでもみたいというニーズはある。当然今の段階では画質などは追いつかないが、これも時間の問題だし、見たければ多少の画質の低下を人は気にしない。
スティーブ・ジョブスは亡くなる前に、AppleTVの改良か全くの新型を検討していたらしいが、これも不気味だ。iPodのようにハードウエアとそれを操作するソフトウエアであるiTunes、それからコンテンツを買えるMusic Storeというようにテレビにも同じようにハードウエアを超える仕組みを持ち込むのではないだろうか。
コンテンツは映画やテレビ局だけでなく個人だ作って共有するものにも魅力的なものがあり、テレビの使い方が変わる可能性もある。ともかく映像を楽しむという行為は無くならないからディスプレイは必ず残り、伝送路やコンテンツ、その使い方が大幅に変わろうとしているのが今の状況だ。私のように日本のテレビ放送をほとんど見ない人が増えているから、これも脅威になる可能性がある。車と並んで日本の重要な商品のテレビがどうなるか気になるところである。
今朝も朝から寒いが、エルはいつも通り。昨日は胃カメラで生体検査をされたのでおとなしく寝たが今朝も眠い。細胞の検査の結果も気になるが、気にしても始まらない。その時はその時ということで、先週は風邪でできなかった年末に現像したネガのプリントを行おうかと考え中。