OpenAIのCEOサム・アルトマンは、「スマホに代わるAI専用端末」の開発を明言していたが、いよいよ本格的に取り組むようだ。OpenAIが、iPhoneをデザインした、元Appleのジョニー・アイブによって設立されたスタートアップ企業「IO」を65億ドルで買収すると発表した。
報道によると、この買収はOpenAIにとって過去最大のものであり、アイブと彼の約55人のエンジニアと研究者のチームを迎え入れることになるという。そして、アイブのデザインスタジオであるLoveFromは、OpenAI全体のクリエイティブおよびデザインを担当し、AIを使いこなすハードウェアを作り出すという。つまり、アイブは「IO」の一員としてOpenAIに参加し端末開発を行い、外部のLoveFromのトップとしてクリエイティブおよびデザインを担当するということのようだ。
この動きの背景には、スマホ市場の成熟と、従来の端末では実現しきれない「AIによる新しいユーザー体験」への期待があるのだろう。発表では、複数の端末が検討されているという。
どんなデバイスになるのかについては、NYTの記事に想像が書かれていた。
音声やジェスチャーによる直感的な操作
- 画面をタッチするのではなく、話しかけたり身振りで操作したりする。たとえば「今日の予定は?」と話しかけるだけでAIが答えてくれる、といった使い方が想定。
高精度なAI処理と独自半導体
- AI処理に特化した独自の半導体を搭載し、高速かつ省電力で動作。これにより、クラウドに頼らず端末単体で多くのAI機能が利用できるようになる。
新しいデザインとインターフェース
- ジョニー・アイヴがデザインに関わることで、洗練された美しい外観と、誰でも直感的に使えるインターフェースが期待される。
ウェアラブルやディスプレイ非搭載の可能性
- メガネ型やペンダント型など、身につけるタイプのデバイスや、ディスプレイを持たない新しい形状が検討されている。これにより、スマホのように画面を見続ける必要がなくなる。
授業のテーマとして、「スマホの次」を学生に考えさせるということをするが、その中には、今のスマホに変わる形体は無いという意見も多い。しかし、常に画面を見ていることで「集中力の低下」や「デジタル依存」が問題視されている。極端に姿勢の悪い学生を見るが、子供の時からスマホを見続けた結果かと思う。
求められるものは、スマホのように画面を開く必要がなく、身につけているだけでAIが状況を理解し、必要な情報を先回りして提供してくれるような端末があれば良い。たとえば、会話の要約、翻訳、健康管理、スケジュール管理、検索などが自然な形で実現できることだ。これが、スマホのような形状ではなく、実現するとなると、ウェアラブルだろうか。Metaのメガネ型は評判が良い。Googleも同様の計画を発表している。もう少し、AIの性能が良く、日本で買えれば欲しいと思っている。
OpenAIは、AIの力を最大限に活かすために、ハードウェアとソフトウェアの両面から新たな端末開発に取り組んでいくようだ。ジョニー・アイヴの「LoveFrom」との協業により、2026年以降に新しいAIデバイスが市場に登場する見込みだそうだ。ウェアラブルやディスプレイ非搭載など、スマホとは異なる新しい形態が登場する可能性が高そうだ。
AI時代の競争は、いよいよ端末まで拡がる。スマホの次は「AIと自然に対話できる身近な端末」の時代へとなるかどうか。これは楽しみである。