ブレインフードがネットで話題になっているのをよく見かける。くるみが認知機能を向上させたり、ブルーベリーが記憶力を高め、魚はアルツハイマー病のリスクを下げるといったようなことだ。昔から伝わるような、このような俗説は必ずしも科学的に証明をされていない。だからブレインフードも簡単に信じることもできないと言うのは常識だ。
ニューヨークタイムスに、認知症と食べ物の関係についての記事があった。その記事の中でマサチューセッツ総合病院の博士は、アルツハイマー病の原因はまだわかっていない、しかも治す薬もないと言っている。しかし同時に、同博士は、どのように食べるかで影響与えることができるとも述べているという。
心臓病や高血圧などの基礎疾患のある人は、そうでない人に比べて、加齢によって認知機能が衰える可能性があることは、様々な研究結果から明らかとなっている。だから同博士は、食物や運動によって、認知症の発症リスクを下げることを示唆している。
記事の中で紹介されていた、2017年に発表された研究では、アメリカで高齢者5900人の調査を行い、地中海食か、マインド食と言う赤身の肉やバター、飽和脂肪酸を控え、不飽和脂肪酸や抗酸化物質を多く含むオリーブオイルやナッツを多く摂取する食事を取った人は、認知機能の低下を抑えることができた。どちらの食事も、新鮮な野菜、豆類、ナッツ、魚、全粒粉、オリーブオイルが奨励されていた。つまりこれらの食品のどれかは、認知機能の低下を抑える可能性があると言うことだ。全てということは、この研究結果だけからは分からない。
先のマサチューセッツ総合病院の博士は、特に葉物野菜を勧めている。葉物野菜は、様々の栄養と植物繊維が豊富で認知機能の低下を遅らせる確かな根拠があると述べている。
今年イスラエルで発表された研究では、200人の人が研究に参加し、18カ月間にわたって3種類の食事療法を行った後に、脳のスキャン画像を撮った。
一番結果が良かったのは、伝統的な地中海食に、マンカイと言う野菜と緑茶やくるみを多く摂る食事療法を行ったグループだった。続いて、一般的な伝統的な地中海食のグループが続いた。先の2つの食事療法よりも植物栄養素が少なく、赤身肉や加工肉が認められている通常の健康的な食事ガイドラインに沿った食事のグループが、最も脳の体積の減少が大きかった。
また別の2021年に発表された研究では、77,000以上の人々を20年間にわたり追跡調査した。その結果は色鮮やかな果物や野菜、チョコレート、ワインに含まれるフラボノイド多く含む食事を取った人は、そうでない人に比べて認知機能低下の兆候が低かったことが報告されている。
以上のようなことから、魚やナッツはもちろん、色鮮やかな野菜や果物をたくさん摂取することが体の健康だけではなく脳の健康に重要だと言う事のようだ。
記事の中に出てくるマンカイと言う植物については聞いたこともなかったので、検索をしてみた。地球上で最も小さな植物で、東南アジア原産、今はイスラエルやアメリカ西部で栽培されていると言う。マンカイと聞くと桜が満開の満開を連想してしまうが、ミジンコウキクサと言う浮き草の1種で水耕栽培によって短期間で収穫できる野菜と言うことだ。すでに日本でも味の素が商品化しており、青汁のような粉末を溶かして飲む商品が昨年から販売されている。その味の素の説明によれば青汁ケールの3倍のタンパク質が含まれているそうだ。
アメリカでは冷凍のキューブで販売され、サラダや原料に混ぜたりして使われるようだ。日本でも冷凍で販売されているのであれば、使ってみたいが、どうも青汁のような粉末を溶かして飲むのは好みではないので、効果がありそうなマンカイではあるが個人的にはパスかもしれない。