「Z世代」と言う言葉を、よく見たり聞いたりするようになったと思いませんか。Z世代は、米国で使われ始めた言葉です。今までも、若い世代に対して、米国でも日本でも、名前を与えてきました。同世代の若者は、似た教育、技術環境、社会的事件のもとに成長し、価値観や生活スタイルに共通する点が多いため、マーケティングの観点からも、その行動や考え方が、ある程度予測可能だからです。
「Z世代」とは
定義は確定していませんが、Z世代は1990年代半ばから2010年頃に生まれた世代を指します。それ以前の言葉としては、1940年頃から1959年までに生まれたベビーブーマー、日本では団塊の世代とも呼ばれます。その後のX世代 は、1960年から1979年生まれ。そしてミレニアル世代とも呼ばれるY世代は1980年から1994年までの生まれです。これは米国の世代論なので、実際の日本と環境が違うために、そのまま受け入れられません。例えば、日本での若者世代を括る言葉としての「ゆとり世代」は、1987年生まれから2004年までの世代を指します。日本の若者の性向を考える上でよく使われています。
Z世代の重要性
では、日本独自の世代論のある中で、Z世代が最近になって使われるのはなぜでしょうか?Z世代が、インターネット普及後に生まれ、スマホを生活の中心として育ってきたために、日米で共通する、特徴的な傾向を持っていることが、日本においても有効だと考えられるためです。米国では総人口に対して30%程度と言われるZ世代は、市場としての大きさも注目されている理由の一つです。日本においては、少子化のために市場としては15%に過ぎません。米国に比べれば小さなセグメントです。しかし、マーケティングでは重要です。若者世代は、限られた経済力の範囲内と言う限定付きですが活発に消費を行い、流行を創造し、既存のものに新しい解釈を加えることで、時代を動かします。また、SNS利用者の中核のため、情報や流行の増幅器の役割も担っています。
マーケティング対象として
Z世代は、現時点で、上は27歳で下は12歳までです。彼らは、完全なデジタル世代で、生まれた時からインターネットが使われていました。そして、スマホを幼少期から使うことができた世代です。このために、メディア行動や消費行動が以前の世代と大きく違っています。まず、マスコミ離れが顕著で、基本的なコミュニケーション・ツールはスマホとSNSです。また、買い物を含めた日常行動がスマホで行われる事は当たり前で、現金を使わずに支払いもスマホを使ってキャッシュレスで行います。
Z世代へのプロモーション方法としては、スマホやSNSを前提とし、当然サイトを作る際にもスマホ用サイトやアプリがメインとなります。メッセージを届ける際にも注意が必要です。長いデフレや東日本大震災や今回のコロナ禍の影響を受けて、堅実で社会的意識が高いこともZ世代の特徴です。このため、企業の環境対策、社会貢献や価格と品質の説明にも丁寧さが求められます。
市場サイズとしては、米国に比べて小さいですが、Z世代への対応が重要なことは述べた通りです。しかし、忘れてはいけないのは、常に新しい世代が登場することです。次の世代がどうなるのか、ブロックチェーンやメタバースの世代となるのか分かりません。常に次の世代についても考えていくことも大事です。多くの企業やサービスが、新しい世代のニーズに応えられなくなって消えていった多くの事例があります。
【広島経済レポート寄稿文】