Metaが実店舗を開店

by Shogo

FacebookとInstagramの親会社のMeta Platforms Inc.が、5月9日に、初めての物理的な店舗を、サンフランシスコ南部のバーリンゲームで開店する。この店は、Metaが提唱するメタバースの体験ができる店で、店内ではMetaのメタバース関連の商品が販売される。

それらは、Portalと言う名称で販売されている家庭用のテレビ会議端末や、以前はOculus Quest 2と呼ばれていた3Dの仮想空間ゴーグル、Meta Quest 2、レイバンのブランドで開発したビデオ録画機能付きサングラスである。MetaのCEOのザッカーバーグ氏は、メタバースの体験のためには実際に物理的な店舗で経験してもらうのが良いとコメントしている。しかし、本当にそう思うなら、少なくともアメリカの西海岸と東海岸に最低でも2店舗は必要と思う。1店舗と言うのはとりあえずやってみました感が溢れている。

IT企業が行う実店舗はあまり成功していない。Microsoftも以前、ニューヨーク、シドニー、ロンドンでMicrosoft Experience Centerと言う店舗を開店したが、早々に閉店してオンラインストアだけになっている。Amazonも2022年3月には、自店舗での書店販売にニューヨークで挑戦したAmazon 4-Starを閉店させた。

Googleは、2021年6月に、参加に納めたFitBitのフィットネス端末やAndoroidのPixelを販売するGoogleストアを、ニューヨーク本社の一階にオープンしている。こちらはまだ閉店したと言うことを聞かないので今のところは営業しているようだ。

このIT企業の実店舗の話から、連想するのは、Apple Storeだ。Appleは、2001年にApple Storeを25店舗開店した。それが、現在は511店舗あるようだ。この数は、新規開店や閉店があるので一定しない。だが、500を超える店舗である。最初にAppleが直営店を物理的な店舗として始めたと聞いたときに、あまりにも採算を度外視した販売方法だと感じたものだ。しかし実際に、Apple Storeに足を運ぶと、その店舗のデザインを含め、統一された空間の中で見るAppleの製品はさらに美しく見えた。それこそがスティーブ・ジョブズが考えたブランド戦略の一環だったのだろう。そして全世界に500店舗を超えるお店で、商品を販売するだけではなく、お客様相談の窓口や様々なワークショップが開かれ、Appleにとっての大きな販売拠点かつ顧客との接点やメディアになっている。これがあるからこそ、その他の販売ルートでも、Appleの統一されたデザインの売り場の設置を要求できる。スティーブ・ジョブズが、考えたように、ほかのPCをごちゃ混ぜで打って欲しくないという販売方法の統一と見せ方を実現させた。

Apple Storeは、ブランド構築の投資だけと考えても、決して高い投資ではなかった。しかし最初は、その意味を理解できなかった。そこが天才と凡才の分かれ目だろう。

このApple Storeの事例を考えると、MetaにしてもGoogleにしても、倒産の危機から回復途上の、当時のAppleから比べればはるかに巨大な企業だ。ザッカーバーグ氏が、実店舗が必要だと言いながらも、1店舗というのでは、本気では取り組んでいないと言う事は明白だ。だから、数年以内に閉店することは保証付だ。

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