プロダクトプレイスメントは、映画やテレビ番組を広告に使うようになって以来の古い形式の手法だ。劇中に登場する商品やサービスあるいは場所は、プロダクトプレイスメントによって、そこに登場するケースがある。広告主は、露出やコンテンツの中での使われ方によるイメージアップを狙っている。
最近話題になったものではNetflixのStranger Thingsのに現れるケロッグのEggo冷凍ワッフルは、プロダクトプレイスメントの成功例である。話題になり商品も売れたこともあり、その結果、ついにはStranger Thingsの画像を商品のパッケージにまで使っている。
デジタル化が進んで、このプロダクトプレイスメントは撮影時でなくても、後からデジタル技術で挿入できるようになった。代表的な例は、野球の中継で見ている球場の広告看板である。この広告看板は、放送される地域やマーケットに合わせて変更されている可能性がある。例えばMLBを、日本で中継を見るときには日本語の看板が現れるのはそのためだ。
テレビ中継で看板を差し替えるなど簡単なために、プロダクトプレイスメント撮影後に行うことも行われるようになってきた。これをバーチャル・プロダクトプレイスメントと呼ぶ。
バーチャル・プロダクトプレイスメントのメリットは、通常のプロダクトプレイスメントと違い、撮影後に完成した作品の映像を見ながら決定できるところにある。
実際に撮影することになると、コンテのように、紙に書いたもので、どのように商品が使われるかを確認して、その後、実際撮影することになる。時間と手間が相当かかるものである。出来上がったものがイメージと違うことも、きっとあり得るだろう。デジタルで描き換えるので変更など簡単だ。
しかし、バーチャル・プロダクトプレイスメントの場合には、デジタルで何度でもやり直しがきく。当然撮影終わっているので、登場人物が、それを実際に使ったり食べたりはできないが、その場所に置かれていたりすることは簡単にできる。あるいは劇中に登場する屋外広告看板を描き換えることなどは、野球中継と同様に簡単である。
Amazonは、広告事業にも力を入れており、ECサイトの広告で大きな収益を上げている。現実にGoogleとMetaに続く第3位の広告事業者となっている。そのAmazonが、バーチャル・プロダクトプレイスメントを使って、Prime VideoとFreeveeの中で、広告主を募集するようだ。Prime Videoの説明は不要だが、Freeveeは、アメリカ、イギリス、ドイツしか営業していない、広告付きの無料映像配信サービスである。これらで放送されるコンテンツにバーチャル・プロダクトプレイスメントを行うことを発表している。実際に近日中に公開されるBoschシリーズの新作ではM&Mチョコレートがバーチャル・プロダクトプレイスメントとして登場すると言う。好きな作品なので、これは実際にPrime Videoで見る予定だ。
Amazonの発表によれば、バーチャルプロダクトプレイスメントは、「リーチャー」、「トム・クランシーのジャック・ライアン」、「Bosch」シリーズ、「メイキング・ザ・カット」、「レバレッジ」、「Redemption 」”などの番組に登場するという。
NetflixやAmazon Prime Videoのように広告が挿入されない場合には、プロダクトプレイスメントは非常に有効である。その場合に、撮影後にプロダクトプレイスメント行えるバーチャル・プロダクトプレイスメントは今後も増えてくるものと予想される。