Appleが、新商品発表会をスティーブ・ジョブズ・シアターで行った。リアルで発表会を行うのはパンデミックが始まってからはじめてのことだ。発表されたのはiPhone 14 やApple Watchの新モデルなど。
iPhone14普及版ではプロセッサは、iPhone13と変わらない。技術的に新しいものを盛り込むというより、製造コストの削減による価格の抑制にポイントを置いているようだ。しかし、フラッグシップのiPhone 14Proではデザインも含めて、大幅で無いにせよ多少の改良が行われている。まずスクリーン上部の切り欠きが小型化されてスクリーンの中に入った形になっている。プロセッサーも新しいA 16を搭載して、大きなセンサーに写真のディテイルやシャープネスを向上させるアルゴリズムに対応していると言う。
円安のために、日本での販売価格が相当上昇するかと思われたが、iPhone 14 Proは128 GBモデルで149,800円からなので、iPhone 13 Proの144,800円からに比べて、5000円の値上げにとどまっている。本格的な値上げは、次期モデル以降かもしれない。
アメリカではiPhone 14には衛星電話の機能が追加されるようだ。当然、衛星電話サービスの契約が必要となるが、アメリカやその他の地域のリモートの場所での対応について必要な人もいるんだろう。日本では、この機能はないが、そもそも衛星電話の必要性はあまりない
Apple Watchは、スポーツモデルとしてApple Watch Ultraを発表して、Garminなどのスポーツウォッチの市場に参入する。Appleはスマートウォッチの市場の30%をを握る最大手だが、スポーツウォッチでは弱かった。ここに対応するモデルだ。
Appleの新製品より多少気になるニュースが出ていて、ブルームバーグやフィナンシャル・タイムによれば、Appleが広告の販売を始めるようだ。Apple Mapsやその他のアプリで広告を表示することを計画中だと言う。
この数年Appleは、ユーザのデータに基づいた広告を敵視する施策をとっている。また、GoogleやFacebookがユーザーのプライバシー・データを広告という形で販売することを批判し、そのような広告も大量に流している。
ネット広告の強みは、その精度の高いターゲティングにある。詳細な属性、ネット上の行動履歴、位置情報などを使って、購入の可能性の高いターゲットに広告を配信できるのだから当然である。
しかし、Appleは、広告事業者ではないので、iPhoneやブラウザ、Safariの情報の共有をブロックし、ユーザーの共有許可が必要な仕様に変更している。このターゲティングを無効にする、プライバシー保護政策は、広告業界、特にFacebookを含むMetaの業績に大きな影響を与えた。
そのAppleが一転して広告を販売すると言うのは矛盾しているように見える。現時点では詳しい情報はわからないが、厳密なターゲティングを行わず、5000人未満をターゲットにするような広告は配信しないと言うことを計画しているようだ。つまり、ある特定の個人が、同じ広告に追いかけられて不気味な印象を持つと言うようなことにならないよう気をつけると言うことだ。ただし現時点で、まだ詳細はよくわからない。
AppleはiPhoneにを中心とした経済圏を築いており、ハードウェアからコンテンツの販売まで様々な形で利益を上げられる仕組みを作り上げてきた。当然の帰結は、そのターゲットに対して広告を販売することだが、それについては今までは踏み込んでこなかったのだ。いよいよそのタガが外れると言う事のようだ。
実際にAmazonなどの他の企業はでは、そのユーザベースに対して広告を販売することにより収益を上げている。Appleも同じ道に進もうとしている。ただし、Appleが、ユーザーのプライバシーを守りますと言っていた今までのブランドイメージを守りつつ、広告が販売できるのかどうか。できても、その精度・効率はどうなるのか。もう少し情報が出てきた段階で詳しく調べてみたい。